上杉朝定 (山本寺上杉家)

上杉朝定（うえすぎ ともさだ）

室町時代前期に生きた武士であり、越後国の守護を代々務めた越後上杉氏の一族から分かれた山本寺上杉家の始祖として伝えられている人物です。越後上杉氏は、当時の関東管領家である山内上杉家や扇谷上杉家などとは異なる家系ですが、同じく上杉姓を名乗る有力な武家でした。朝定は、この越後上杉氏の勢力圏において、山本寺を名乗る一族の基礎を築いた人物としてその名が残されています。

略歴と伝承

上杉朝定の生涯については、確かな史料が少なく、その詳細は明らかではありません。

生年と出自: 伝えられるところによれば、応永二十五年（一四一八年）に生まれたとされています。また、彼の父は上杉朝方であったとも言われていますが、これも確定的な情報とは言い難いです。
不動山城築城説: 戦国時代において越後国の重要な戦略拠点となった不動山城（現在の新潟県上越市に位置）の築城に関わった人物としても名が挙げられます。ただし、この城を築いたのが朝定自身であるとする説と、彼の子孫にあたる山本寺定種であるとする説が存在しており、どちらが真実であるかは明確になっていません。築城の年代についても諸説あり、朝定の時代か、あるいはそれ以降のことか、断定することは困難です。

山本寺上杉家の系譜

上杉朝定が祖とされる山本寺上杉家の系譜は、全体として不明瞭な点が多いことで知られています。特に、戦国時代に越後の戦国大名である長尾氏（後の上杉氏）に仕え、武将として活躍した山本寺定長や、その跡を継いだ山本寺孝長（景長とも称されました）といった人物との血縁関係については、現在の史料からはっきりとした繋がりをたどることができません。

この系譜の不明瞭さは、当時の地方武士団の記録が断片的であることや、戦乱による史料の散逸などが原因と考えられます。山本寺上杉家は、越後国において一定の勢力を持っていたと考えられますが、その歴史的展開や一族の詳しい構成については、今後の研究に待つところが大きいと言えます。

上杉朝定は、山本寺上杉家の始まりに関わる人物として伝承されていますが、その具体的な事績や生没年、後世の山本寺氏との繋がりなど、未解明な部分が多く、歴史上の人物像を明確に描くことは容易ではありません。彼の名は、越後上杉氏の分家として山本寺氏が成立したことを示す始祖として、系図上に記されているという状況です。

結論として、上杉朝定は室町時代前期の越後国の武士であり、山本寺上杉家の祖とされる人物ですが、その生涯や家族関係、功績に関する情報は断片的であり、歴史研究におけるさらなる探求が求められる存在と言えます。

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