上杉知義

上杉知義（うえすぎ ともよし）は、江戸時代中期の日本の武士であり、高家旗本として幕府に仕えた人物です。

彼の生涯は元禄12年（1699年）に始まります。彼は、同じく旗本であった畠山義寧の三男として生を受けました。しかし、知義は実家である畠山家ではなく、親族にあたる上杉義陳の養子として迎え入れられることとなりました。この養子縁組により、彼は上杉家の一員となり、後にその家督を継ぐことになります。

養父である上杉義陳が宝永2年（1705年）3月29日に死去したことに伴い、知義は家督を相続しました。この時、彼はまだ幼く、数え年で7歳であったと推測されます。家督継承後、彼は幕府の寄合に所属することとなりました。寄合は、無役ながらも高い家格を持つ旗本や御家人が列する集団でした。

寄合に所属していた知義は、その後の宝永7年（1710年）10月22日、数え年12歳の時に表高家へと昇格を果たしました。表高家は、高家の中でも特定の役職に就かない者たちの区分であり、その家格の高さを示す重要な地位でした。

表高家として幕府に仕えた知義でしたが、残念ながら、高家として実際に朝廷との儀礼や公家接待などの職務、すなわち「高家職」に登用されることは、その生涯において一度もありませんでした。高家旗本は、将軍に近侍し、朝廷や公家との儀礼や典礼に関する一切を取り仕切るという、幕府内でも特に格式の高い役職を担う可能性を持つ身分でした。彼らは家柄を重んじられ、幕府の権威を示す上で重要な存在とされていましたが、高家旗本の全ての者が常に高家職という実務的な役職に就いていたわけではなく、表高家のように家格を示す身分としての側面も強く持っていました。知義の場合は、そうした実務的な高家職に就くための登用がなされることはなく、表高家としての地位に留まったと言えるでしょう。

長い年月にわたり高家旗本としての身分を保った知義は、寛保元年（1741年）7月20日に致仕（隠居）することを決め、家督を次代に譲りました。彼の後継者となったのは、婿養子として迎えられた上杉義枝でした。致仕の時、知義は数え年で43歳であったと推測されます。これにより、上杉家の家督は義枝へと引き継がれることとなりました。

致仕後も生きていた知義は、宝暦2年（1752年）11月26日にその生涯を閉じました。享年54であったと記録されています。江戸時代中期の高家旗本として生きた彼の生涯は、家督相続、身分昇格、そして隠居という、当時の武士が辿る規範的な道のりを静かに歩んだものであったと言えるでしょう。

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