上杉秋則

上杉 秋則 の紹介

上杉 秋則（うえすぎ あきのり、1947年生まれ）は、日本における独占禁止法の権威である公取官僚・法学者です。彼は東京大学法学部を卒業後、ペンシルベニア大学ロースクールにて法学の修士号（LL.M.）を取得しました。この厳しい学問的背景を活かし、彼は公正取引委員会（公取委）の要職を歴任し、特に経済取引に関する政策形成において重要な役割を果たしました。

官界での功績

上杉のキャリアは、公正取引委員会での職務に始まりました。1970年に公取委に入局し、その後急速に昇進。公取委の審査局長や経済取引局長を経て、第5代公正取引委員会事務総長に就任しました。在職中は、特に知的財産戦略本部による商業用レコードの再販売価格維持制度廃止提言に対して、新聞や出版業界の既得権益の強化の危険性を指摘し、廃止方針に異を唱えました。しかし、国会での激しい抵抗に遭い、最終的には廃止方針の見直しを余儀なくされました。

学界での影響

公務を退いた後、上杉は一橋大学大学院国際企業戦略研究科で教授として独占禁止法を教え、その知識を次世代に伝えることに力を注いでいます。この大学院での教職は、彼の法学者としてのキャリアに新たな局面をもたらし、彼の研究と実務経験を生かした貴重な教育活動が評価されています。

異例の騒動

上杉は国会同意人事の撤回騒動に巻き込まれたことでも知られています。2008年、彼は公取委の委員に内定しましたが、著書の経歴に誤って「弁護士」と記載されていたことが問題視され、国会における同意案件が政府により取り下げられる事態となりました。この騒動は大きな注目を集め、年末にかけて多くの報道が成されました。最後には上杉自身が「不注意があった」と認め、関連する出版社もミスを謝罪しました。

学歴と著作

上杉の学歴も注目に値します。彼は一流の学び舎で法律を学ぶ傍ら、多数の著書や共著があり、特に独占禁止法についての研究が評価されています。代表的な著作には『独禁法の来し方・行く末』や『21世紀の競争政策―その変化と方向性』などがあります。これらの著作は、専門家や研究者、さらには実務家にとっても重要な参考文献となっています。

受賞歴

上杉は2017年に瑞宝重光章を受章するなど、その業績が広く認められています。これは彼の公取委での貢献と法学界への影響力を証明するものです。

まとめ

上杉秋則は、独占禁止法に関する豊かな知識と実務経験を持つ日本の重要な法学者であり、彼の業績は日本の経済政策形成において不可欠な存在となっています。彼の教育活動は次世代の法曹界にも大きな影響を与えることでしょう。

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