上杉顕孝

上杉顕孝（うえすぎ あきたか）

上杉顕孝は江戸時代中期の出羽国米沢藩における重要な人物であり、9代藩主・上杉治憲（鷹山）の長男として生まれました。彼は安永5年（1776年）に米沢城で誕生し、母は側室であるお豊の方です。顕孝は幼い頃から優れた教育を受け、藩主としての素質を培われました。

経歴

天明2年（1782年）、顕孝は父の養嗣子として上杉治広にあたる上杉治広の養子に定められ、彼の名前に「顕」を冠されました。その後、天明3年（1783年）には土佐藩主・山内豊雍の娘である采姫と婚約し、期待される若き藩主の位置に立ちました。

顕孝が実父である鷹山の隠居により米沢藩主の地位を引き継ぐことが決まったのは、天明5年（1785年）のことです。この時、若殿様と称され、同年の9月22日に米沢城の内にある隠居所である餐霞館に移り住むことになりました。彼はその後江戸に転居し、藩主としての責任を果たすために細井平洲から学びました。

しかしながら、顕孝の人生は短命であり、速報があった寛政6年（1794年）、彼は19歳で疱瘡にかかり、江戸藩邸で命を落としてしまいます。この突然の死により、家督は斉定が引き継ぎ、藩主としての道を歩むこととなりました。

逸話

上杉鷹山は藩主としての顕孝に対して、「為（な）せば成る。為（な）さねば成らぬ何事も、成らぬは、人の為（な）さぬなりけり」といった言葉を託し、藩主としての心構えを教えました。この訓えは、顕孝が生涯受け継ぎ、より良い統治者になるための指針となったことでしょう。

顕孝の死に際し、鷹山はその悲しみの深さを詠んだ一首の歌を捧げ、「十年余り見しその夢はさめにけり軒端に伝う松風の声」とし、息子の不在を嘆く様子が伝えられています。

系譜

顕孝は上杉治憲（1751-1822）を父に、浄鏡院（1741-1822）を母に持ちます。母は上杉勝延の三女であり、彼女のお豊の方という称号で広く知られています。顕孝の養父は上杉治広（1764-1822）で、また彼の婚約者は山内豊雍の娘である采姫（米）でした。

顕孝の人生は短いものでしたが、彼の存在は米沢藩において忘れられない歴史の一部となっており、家族や家臣から多くの愛情を受けたことが彷彿とさせます。彼の教育や生きざまと、その死後も続く影響力を感じることができます。

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