山内豊雍

山内豊雍（やまうち とよちか）

山内豊雍は、江戸時代中期の大名で、土佐藩の第9代藩主です。寛延3年（1750年）に第8代藩主・山内豊敷の四男として生まれました。幼少の頃に父の嫡子となり、宝暦13年（1763年）には将軍徳川家治に謁見、明和元年（1764年）には従四位下筑後守に叙任されました。明和5年（1768年）に父の死去に伴い家督を継ぎ、土佐藩主となりました。

藩主として、豊雍は文武を奨励しました。しかし、天明の大飢饉により藩財政は深刻な困窮状態に陥ります。その対策として、藩士の知行借上げなどの措置を講じましたが、効果は限定的でした。そのため、天明7年（1787年）には、領内の百姓が伊予に逃散するという事態も発生しました。

事態を重く見た豊雍は、谷真潮、尾池春水、久徳直利ら有能な人材を登用し、藩政改革に着手します。まず、土佐藩の格式を20万石から10万石に切り下げて徹底的な節約を行い、また、特権商人による問屋制を廃止し、五人組を強化することで、領内経済の活性化を図りました。これらの改革は「天明の改革」と呼ばれ、その結果、藩財政はいくらか再建されたとされています。

また、豊雍は安永9年（1781年）に、一族の旗本であった山内豊産に蔵米1万俵を支給し、土佐新田藩を立藩させました。これは、弟の豊泰を豊産の養子に入れるという約束に基づくものでした。

寛政元年（1789年）に40歳で亡くなり、跡は長男の豊策が継ぎました。温厚で賢明な性格であったと伝えられ、藩政改革を成功させたことから名君として知られています。


系譜

父：山内豊敷（1712-1768）
母：加恵 - 貞光院、伊笹氏
本人：山内豊雍
正室：友子（1749-1780） - 観月院殿翠顔妙黛大姉、毛利重就の三女
長男：山内豊策（1773-1825）
（以下生母不明の子女）
男子：景之助
三男：山内豊敬
女子：采子 - 慈明院、上杉顕孝婚約者、のち黒田長舒継室
女子

参考文献
* 『寛政武鑑』（国文学研究資料館蔵）

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