上柳橋

上柳橋：広島の街を見つめる歴史と現代が交差する橋

広島県広島市中区を流れる京橋川に架かる上柳橋は、1966年（昭和41年）10月に竣工した道路橋です。広島市道中広宇品線（駅南通り）の一部を担い、市内交通の重要な役割を担っています。

上柳橋は、京橋川と猿猴川の分流点である「台屋の出鼻」のすぐ下流に位置しています。上流には被爆橋梁である栄橋、下流には市内最古の鋼橋にして被爆橋梁でもある京橋が架かっています。これらの橋と比較すると、上柳橋は京橋川の分岐点から見て最上流に位置する橋となります。この地理的な位置づけは、広島市の都市構造を考える上で重要な要素となっています。

橋の東詰交差点は、駅西高架橋の南詰交差点に接続しています。そこから東へ進むと、南側に広島グランドインテリジェントホテル、北側に駅前大橋南詰交差点があり、さらに北上すればJR広島駅へと至ります。一方、西側へ進むと、エリザベト音楽大学や広島市立幟町小学校があり、さらに進むと広島城や広島県庁、広島合同庁舎といった市の中心部へと繋がっています。上柳橋は、まさに広島市の要衝に位置していると言えるでしょう。

上柳橋の右岸側、上流の栄橋から下流の京橋にかけては、約20メートル間隔で雁木が約20メートル間隔で残っており、現在判明している範囲では全国最大の河川舟運用の雁木群です。この歴史的な遺構は、かつての広島の舟運の盛況を偲ばせる貴重な存在です。さらに、このエリアは市によって「東部河岸緑地」として整備され、2004年から水辺の環境を活かしたオープンカフェなども開業しています。市民の憩いの場として、親しまれています。

また、右岸側下流部には、被爆樹木であるシダレヤナギとエノキが今もなお生き続けています。これらの樹木は、広島の歴史を直接的に物語る存在であり、未来へと繋ぐべき貴重な遺産と言えるでしょう。

近年、高速5号線開通に伴う車線確保のため、上柳橋の拡幅工事が行われました。この工事は、広島市の交通インフラ整備における重要な取り組みの一つであり、将来的な交通量増加への対応として期待されています。

上柳橋は、単なる道路橋という枠を超え、歴史、文化、自然が一体となった広島の象徴的な存在です。周辺の景観と調和しながら、未来へと続く広島の街を見つめ続けています。これからも、人々の生活を支え、広島の歴史と発展を繋いでいく存在であり続けるでしょう。

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