上浪朗

上浪朗：日本の近代建築を支えた建築家

上浪朗（うえなみ あきら、1897年-1975年）は、日本の近代建築史に名を残す建築家です。明治30年（1897年）、大阪に生まれました。東京大学工学部建築学科卒業後、大正11年（1922年）に逓信省経理局営繕課へ入省。以降、日本の通信インフラ整備に大きく貢献することになります。

逓信省在籍中は、数多くの郵便局や電話局の建築設計を手がけました。その建築様式は、近代的な機能美と洗練されたデザイン性を兼ね備えており、今日でも高い評価を受けています。設計だけでなく、尼崎、堺、京都、福山、宮崎、銚子など各地の郵便局や電話局、無線電信所の建設工事にも携わり、実践的な経験を積みました。昭和2年（1927年）には営繕課の主査に就任し、組織をまとめる立場でも活躍しました。

昭和21年（1946年）には航空局技師を兼務。多様な分野での経験を積んだことで、建築家としての視野はさらに広がったと考えられます。昭和32年（1957年）に逓信省を退官後は、構想建築研究所を設立。独立後も、全国各地の簡易保険郵便年金事業団保養センターやNHKの地方テレビ局など、数々の公共施設の設計を手掛けました。

上浪朗の設計した建築物は、日本各地に残されています。代表的な作品として、NTT東日本長者町ビル（旧横浜中央電話局長者町分局）、大分郵便局電話事務室、広島郵便局電話分室、熊本逓信局、東京中央電話局赤坂分局、NTT西日本京都支店祇園別館（旧祇園電報電話局）、芦屋郵便局電話事務室、芦屋モノリス（旧逓信省芦屋別館）、横浜中央電話局長者町分局、東京中央電話局三田分局、姫路モノリス（旧姫路郵便局電話分室）、広島逓信局、岡山郵便局、呉電話分室、京都中央電話局吉田分室などが挙げられます。これらの建物は、それぞれの地域に溶け込みながら、上浪朗の建築思想を体現する、重要な近代建築遺産となっています。

上浪朗は、単に建物を建てるだけでなく、人々の生活や社会のニーズを的確に捉え、機能的で美しい建築を創造することに尽力しました。その功績は、日本の近代建築の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。彼の設計した建物は、現在でも多くの人々に利用され、日本の近代建築史において重要な役割を果たしています。上浪朗が残した建築作品群は、後世に語り継がれるべき貴重な財産であり、日本の近代建築を理解する上で欠かせない存在です。彼の設計思想や建築手法は、現代の建築家にも大きな影響を与え続けています。

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