逓信省

逓信省について

逓信省（ていしんしょう）は、日本において約六十年の間、郵便、通信、運輸を管轄していた中央の官庁です。設立は1885年（明治18年）12月22日で、当初は内閣直属の機関として農商務省や工部省からさまざまな事務を引き継ぎ、幅広い行政業務を担っていました。逓信省の名称は、駅逓（エキテイ）の「逓」と、電信の「信」を組み合わせたものです。

沿革と特徴

逓信省は設立以来、電気事業の監督や鉄道、船舶、航空の行政などを統括しました。1891年には電気事業の監督を開始し、1892年からは鉄道行政に関わりました。その後も、様々な分野に関わる業務を広げていく中で、1923年には陸軍省から航空行政を引き継ぎました。しかし、戦争の影響もあり、1943年には逓信省と鉄道省が統合され、運輸通信省が設立されることになります。

1945年の日本敗戦後、逓信省は再び設立され1946年から1949年まで新たに機能しました。この時期には郵便や電気通信、簡易保険、航空保安などの業務に専念しましたが、1949年には最終的に廃止され、郵政省と電気通信省とに分かれる形で解体されました。

重要な業務

逓信省が担った業務には以下のようなものがありました。

• - 郵便: 日本における郵便事業は、逓信省が設立される前の受取駅制度の管理を経て近代化されました。初代駅逓頭濱口梧陵のもと、1891年には「〒」マークが制定され、郵便事業の発展が進められました。
• - 電信・電話: 工部省から引き継がれた電信事業は、1890年から電話事業も管轄するようになりました。これにより、電信および電話の運営は逓信省の重要な任務となりました。
• - 海事: 逓信省は役割として民間船舶に関する業務を行い、1885年には海難審判制度や海員審判所を設立し、船舶の安全管理を強化していきました。
• - 鉄道: 1872年の鉄道開業を契機に、逓信省は鉄道の監督業務を行うことになりましたが、最終的にこの業務は独立した鉄道院に移管されました。
• - 電気: 電気に関わる業務は1909年に設置された電気局を通じて行われ、1939年に電気庁が設立されましたが、後には軍需省に移されることになりました。
• - 航空: 逓信省では航空局を設置し、国内外の航空業務と航空保安に関する事項を管理しました。

最後の時代

1949年、逓信省は廃止され二省制に移行し、郵政省と電気通信省が新たに設立されました。逓信省の活動は長い歴史にわたり日本の通信と運輸の基盤を築く中で大きな役割を果たしました。今日では、その後身となる日本郵政や、NTTなど、逓信省から分かれた機関が日本の通信網を支えています。逓信省の歴史は日本の近代化を象徴する重要な部分となっており、現在でもその影響は色濃く残っています。

逓信省は国の発展に寄与した重要な機関であり、近代的な郵便、通信、運輸の基盤を築いた役割は特筆に値します。後の日本における通信技術や交通網の発展にも大きな影響を与え、多様な行政機関が生まれるきっかけとなりました。

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