上海から来た女

映画『上海から来た女』の概要

『上海から来た女』は1947年に制作されたアメリカのサスペンス映画で、オーソン・ウェルズが監督と制作を担当しました。ウェルズはこの映画において彼の妻であるリタ・ヘイワースを主演に迎え、物語を展開させています。この作品は、シャーウッド・キングの小説をもとにしており、当時の映画界に新たな風を吹き込む作品となりました。

映画は1948年にアメリカで公開され、日本では1977年に水野晴郎が主宰するインターナショナル・プロモーションによって劇場公開されました。オーソン・ウェルズは撮影の際、厳しい締め切りや予算の制約を守りながら撮影を終えましたが、作品の内容について制作総指揮のハリー・コーンとの間で意見の食い違いが生じました。このため、コーンによる再撮影が指示され、さらには編集に1年を要してしまいました。その結果、本来のバージョンから約1時間もの内容が削除され、特にラストシーンの大部分が失われることとなりました。このことは、ウェルズの他の多くの作品と同様に、オリジナル版の復元を困難にする要因となっています。現在では、一部のスチル写真が残されているだけです。

ストーリー概要

映画の物語は、マイケルという男が強盗に遭っているエルザを助ける場面から始まります。エルザは美しい女性で、すでに夫がいることを知りながら、マイケルは彼女に強く惹かれていきます。状況は変わり、エルザの夫アーサーの手によってマイケルは船員として雇われ、ヨットでの航海に出ます。しかし、航海中にグリズビーという人物が何者かに殺され、その直後にマイケルはアリバイがないため逮捕されてしまいます。これに対抗すべく、マイケルは裁判中に逃走し、真犯人を追い求めて冒険を繰り広げることになります。

キャストとスタッフ

この映画のスタッフには、監督・製作を手掛けたオーソン・ウェルズの他、製作総指揮のハリー・コーン（ノンクレジット）、脚色にはウィリアム・キャッスル、チャールズ・レデラー、フレッチャー・マークルが名を連ねています。音楽監督はモリス・ストロフ、作曲はハインツ・ロームヘルドが担当しました。また、撮影技術にはチャールズ・ロートン・ジュニア、ルドルフ・マテ、ジョゼフ・ウォーカー（ノンクレジット）がかかわり、編集にはヴァイオラ・ローレンスが携わっています。美術はスタージェス・カーンとスティーヴン・グーソンが手掛け、衣装デザインはジャン・ルイが務めています。

この映画は、サスペンスと陰謀が絡み合うストーリーと視覚的な美しさが特徴で、オーソン・ウェルズが持つ独自の映画表現が際立つ作品となっています。影響力のある作品として、現在でも多くの映画ファンに愛され続けているのです。

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