上海コミュニケ

上海コミュニケ：米中関係の転換点

上海コミュニケ（英語：Shanghai Communiqué）は、1972年2月27日にアメリカ合衆国と中華人民共和国が発表した共同声明です。リチャード・ニクソン大統領の歴史的な訪中時に発表され、米中関係の正常化に向けた重要な一歩となりました。

コミュニケの概要

このコミュニケは、米中関係の正常化が両国だけでなく、すべての国の利益にかなうと宣言しました。しかし、その実現には7年後の1979年、「外交関係樹立に関する共同コミュニケ」の発表を待つ必要がありました。

また、アメリカと中国は、アジア太平洋地域において、自国または他国が覇権を求めるべきではないという点で合意しました。これは、当時ソビエト連邦と国境を接していた中国にとって、特に重要な意味を持っていました。

ちなみに、「コミュニケ」とはフランス語で「声明」を意味します。

台湾の政治的地位

コミュニケにおいて、アメリカは台湾海峡の両岸にいる中国人が、中国は一つであり、台湾がその一部であると主張していることを「認知 (acknowledge)」すると表明しました。アメリカ政府は、この立場に異議を唱えないとし、中国自身による台湾問題の平和的解決に関心を持っていることを再確認しました。その上で、台湾からのすべての米軍および軍事施設の撤退を究極の目標とすることを明記しました。

当時の国務長官としてアメリカ側の交渉を監督したヘンリー・キッシンジャーは、著書『On China』の中で、この合意を以下のように評価しています。

>「数十年に及ぶ内戦と敵対心を、北京、台北、ワシントンの三者が賛同できる肯定的な一般原則に折り畳んだ。アメリカは、中国の分断線の両側にいる中国人の信念を認めることで、一つの中国政策に対処した。このような柔軟性をもって、アメリカはその後数十年の間に「認める」から「支持する」へと自らの立場を変化させてきた。台湾は経済的にも内部的にも発展する機会を与えられてきた。中国は、台湾と本土の政治的なつながりに「核心的利益」を認めた。アメリカは平和的解決への関心を肯定した。時には緊張することもあったが、上海コミュニケはその目的を果たしてきた。署名されてから40年間、中国もアメリカも、この問題が両国の関係の勢いを妨げることを許していない。それは繊細で、時に緊張を伴うプロセスであった。その間、アメリカは平和的解決の重要性を、中国は究極的な統一の必要性を確信してきた。それぞれの側は自制心を持って行動し、相手側に意志や強さを試させないように努めてきた。」

経済・文化交流への期待

コミュニケには具体的な手段は示されていませんでしたが、米中両国が経済的・文化的な接触を拡大したいという願いが込められていました。

上海コミュニケは、その後の米中関係の進展、ひいては世界情勢に大きな影響を与えた画期的な出来事として、歴史に刻まれています。

参考文献

Nickles: “Foreign Relations of the United States: 1977–1980 — China”. 合衆国政府印刷局 (2013年). 2019年2月19日閲覧。

関連項目

六つの保証
台湾関係法
三つの共同コミュニケ
米中関係
日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明（日中共同声明）

外部リンク

The full text of the Three Joint Communiqués（英語）
『上海コミュニケ』 - コトバンク

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