上海紡績

上海紡績会社：中国における日本紡績業の先駆け

上海紡績会社（シャンハイぼうせきがいしゃ）は、1902年（明治35年）に三井物産によって興泰紗廠（こうたいしゃしょう）が買収・改組され、設立された綿紡績企業です。「シャンボウ」の名で知られ、在華紡（ざいかぼう：中国における日本資本による紡績業）の先駆けとなりました。

背景：綿輸出関税撤廃と中国市場への進出

1894年（明治27年）の綿輸出関税撤廃により、日本の綿紡績品はイギリス製品と競争しながら、中国市場へ進出しました。この時期に、日本の紡績業は新たな市場を求めて海外展開を模索し始めました。

上海紡績設立の経緯

教育者であった成瀬隆蔵（なるせ たかぞう）は、1895年（明治28年）に三井財閥に入り、旧興泰紗廠の買収を主導しました。1902年（明治35年）、旧興泰紗廠は三井物産上海支店によって買収・改組され、上海紡績株式会社が設立。成瀬隆蔵は総支配人に就任し、経営を担いました。上海紡績は、日本の資本と技術を導入し、中国の紡績業の近代化に貢献しました。

黒田慶太郎と上海紡績

皇室の姻戚となった黒田慶樹（くろだ よしき）の祖父、黒田慶太郎（くろだ けいたろう）もまた三井物産に入社し、上海紡績の代表取締役会長として戦前の上海に暮らしていました。黒田慶太郎は、上海紡績の経営において重要な役割を果たし、日中間の経済交流に尽力しました。

上海紡績の意義

上海紡績は、在華紡の先駆けとして、その後の日本企業の中国進出のモデルケースとなりました。日本の紡績技術を中国に導入し、現地の産業発展に貢献した一方で、日中間の経済関係における複雑な側面も示唆しています。

参考文献

日本歴史大辞典編集委員会 編「在華紡」『日本歴史大辞典第5巻 さ-し』河出書房新社、1979年11月。
『文藝春秋』（2005年新年特別号）

関連項目

在華紡
成瀬隆蔵
武藤山治 (実業家)
黒田慶太郎
新内外綿

外部リンク

コトバンク「上海紡績」（「在華紡」より）

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