上熊野村

上熊野村について

上熊野村（かみくまのむら）は、石川県羽咋郡に位置していた小さな村です。その名称は、江戸時代の「熊野方郷」に由来し、地名は京都から近いことを示唆しています。この村の歴史や地理的特徴について詳しく見ていきましょう。

地理・概要

上熊野村は、現在の志賀町の中央部、かつての志賀町が存在した時期には北部にあたります。村は丘陵に囲まれており、米町川沿いの谷に広がる盆地に位置しています。そのため、自然環境は豊かで美しい景観が広がっています。特に米町（こんまち）には沢口鉱山があり、ここからは美しい珪孔雀石が採掘されたことでも知られています。また、村の境界には刈越峠が存在し、交通の一部を形成していました。

歴史

上熊野村の地域には中世から「直海保」と呼ばれる集落があったとされます。1875年（明治8年）12月には、小室村内に小室小学校が開校され、これが後に切偲小学校、さらに上熊野尋常小学校へと改名されていきました。

1889年（明治22年）4月1日、町村制の施行に伴い、複数の村が統合されて上熊野村が新たに設立されました。1927年（昭和2年）6月30日には、能登鉄道の一部である能登高浜駅から三明駅間が開通し、村内の米町駅も新たに設置され、交通の利便性が向上しました。

戦後の1947年（昭和22年）、上熊野小学校の高等科が上熊野村立上熊野中学校となり、教育の場が整備されました。また、1950年（昭和25年）には新たに直海駅が開業し、地域の交通網がさらに発展しました。最後に、1954年（昭和29年）には上熊野村や周辺の村が統合され、新たに羽咋郡志賀町が設置されることとなります。この際、上熊野村の大字は志賀町に引き継がれました。

交通

上熊野村では、北陸鉄道能登線が主要な交通手段として利用されていました。米町駅と直海駅が重要な駅であり、地域住民の移動を支えていました。また、外浦街道、現在の国道249号も通っており、交通の要所として機能していました。大笹駅の開業は村が志賀町に移行した後の1955年であり、村としての活動はこの時点で終わりました。

教育

上熊野村には上熊野村立上熊野中学校と上熊野村立上熊野小学校が存在しましたが、これらの教育機関はいずれも閉校しています。現在の上熊野小学校は志賀町立上熊野小学校として継続しています。

産業

村の主要な産業は鉱業であり、特に沢口鉱山での珪孔雀石の採掘が行われていました。その他にも、農業、林業、そして瓦の製造といった産業も村の経済を支えるものでした。

上熊野村の歴史は日本の地域社会の一端を反映しており、消滅した市町村の一つとして忘れられがちな存在でありますが、豊かな自然や文化の中で育まれた地域であったことを示しています。

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