上田定

上田 定（かみた さだむ）

上田定は1916年10月24日に広島県に生まれ、1941年12月8日に若干25歳で戦死した日本の海軍軍人です。彼は太平洋戦争における真珠湾攻撃の際、特殊潜航艇「甲標的」の搭乗員として活躍し、九軍神の一人としてその名を刻むことになりました。上田は、海軍兵曹長まで昇進しましたが、その短い生涯を戦争に捧げました。

出身と経歴

上田は5人兄弟姉妹の長男として育ちました。中学を卒業後、呉海兵団に入団し、水雷学校普通科や潜水学校などを修了。業務に必要な実務知識を得るために、術科学校の高等科を卒業しました。彼の成績は非常に優秀で、後の特攻隊に選ばれる素養を持っていました。

最後の帰省

上田は1941年9月に帰省を許可されましたが、こちらは不幸にも豪雨に見舞われ、故郷の川は氾濫の危機に直面していました。彼は発熱のため体調を崩しながらも、村人たちと一緒に排水作業や土嚢積みなど、地域の復興に力を尽くしました。夕方には高熱により倒れてしまい、翌朝には無理をして戻ることになったのです。

真珠湾攻撃

1941年12月7日の真珠湾攻撃において、上田は艇長の横山正治海軍中尉と共に特殊潜航艇で出撃しました。彼らは特別攻撃隊の先陣を切り、艦隊攻撃を行いました。この攻撃中に、上田たちは米軽巡洋艦「セントルイス」に対して雷撃を試みましたが、命中には至りませんでした。

その後、若干の通信を母艦に送りましたが、次第に攻撃に参加していた艦艇からの反撃を受け、戦闘の最中に行方不明となります。上田の消息は不明であり、彼の死後、彼らの搭乗艇が沈没した可能性があることが確認されました。米海軍によって湾内の水中から発見された残骸は、彼らの戦死を示すものでした。

家族の影響

上田家はもともと富裕でしたが、彼の幼少期に父の商売が失敗し、家庭は困窮しました。母親は彼が中学まで進学できるように、昼夜を問わず働きました。その影響を受け、上田も少年の頃から海軍を志望しました。母の苦労を見て育った上田は、使命感を持って任務に励みました。

上田の戦死後、彼の家族は名誉の代償を払うことになります。軍神となった彼を理由に、地域社会からの期待や圧力がかかり、さらに家族の負担は増大しました。結局、母親は過労がたたって結核を患い、59歳で他界しました。

結論

上田定の人生は戦争という歴史の中で短かったものの、彼の情熱と勇気は人々の記憶に残り続けています。彼の家族や仲間との絆、母の献身的な努力は、彼が成し遂げた成果と合わせて、今でも多くの人々に影響を与えています。上田の物語は、彼自身の栄光だけでなく、多くの人々の思いを背負ったものであり、深い意味を持ち続けています。

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