上田重安

上田重安の生涯とその業績

上田重安（うえだ しげやす）は、安土桃山時代に活躍した武将であり、江戸時代初期には浅野家の家老として重要な役割を果たしました。通称は左太郎、主水正であり、関ヶ原の戦い後に剃髪し宗箇（そうこ）と名乗ったことでも知られています。

出身と経歴

重安は永禄6年（1563年）、尾張国愛知郡星崎村に生まれました。彼の家系は元々小笠原姓を名乗っていましたが、重安の代で上田に改名されています。祖父の代から、丹羽長秀の家臣として仕官し、数々の戦に参加しました。

1582年の本能寺の変時には、重安は津田信澄の首を挙げる功績を挙げ、これにより彼は名を馳せました。また、1585年には秀吉の直臣となり、越前国内に1万石を与えられて大名となるなど、彼の武勇と才覚は次第に世に知られるようになりました。

重安は天正14年（1586年）からは方広寺の大仏殿工事に関与し、以後も九州や小田原の役にその身を投じました。特に、関ヶ原の戦いでは西軍に属しながら、その後の敗戦で領地を喪失し、摂津国に流されました。

浅野家の家老としての活躍

流浪の後、蜂須賀家政の招きに応じて阿波国の徳島へ移り住み、ここで徳島城の庭園を手掛けるなど、造園家としても名を馳せました。重安の妻は秀吉の従弟であり、その縁から浅野家の家老に就任します。彼は1万石を与えられるなど、充実した生活を送ります。

大坂の陣とその後

慶長19年（1614年）の大坂の陣では、浅野長晟に従軍し、翌年の夏の陣では戦功を挙げました。その功績は高く評価され、将軍徳川秀忠や大御所家康からも賞賛を受けました。1619年には安芸に移封され、さらに名古屋城の二の丸庭園も担当しました。

晩年と死後の影響

重安は茶道と造園を通じて、後の世に多くの影響を残しました。彼の茶道は上田宗箇流として発展し、その精神が引き継がれていきます。1650年、重安は88歳で没し、広島県廿日市市にある墓所には松の木が植えられています。

重安の業績は多岐にわたり、その戦歴や造園・茶道の分野での貢献は評価されています。例えば、彼の生涯を描いた伝記や小説、漫画なども多く、今なおその影響は語り継がれています。彼の作庭による庭園は多くの人に利用され、後世にその美しさを伝えています。

知られざる事実

また、彼の息子の重秀は徳川家に仕官し、直参出仕を促されながらも重安自身は浅野家に留まることを選びました。こうして上田家は代々、広島藩に仕える歴家として続いていくことになります。

このように、上田重安は時代を超えて人々の記憶に残る存在であり、多様な業績を通じて日本の歴史に名を刻んだ武将であることがわかります。

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