上笠田駅

上笠田駅の概要

上笠田駅（かみかさだえき）は、三重県いなべ市員弁町上笠田に位置していた三岐鉄道北勢線の駅です。2006年4月1日に正式に廃駅となりましたが、その前の長い歴史の中で多くの変遷を経てきました。

駅の歴史

この駅は1916年に北勢鉄道の駅として開業し、その後1934年には社名変更に伴い北勢電気鉄道の一部となりました。1944年には三重交通の駅に、1964年には三重電気鉄道へと事業譲渡されました。さらに、1965年には近畿日本鉄道に統合され、以後は近鉄の駅として運行されていました。1977年には列車の行き違い設備が使用停止となり、1982年には駅舎が取り壊されるなど、利用状況に応じた変化が続きました。

2003年には三岐鉄道に移行し、2006年に入ってからは駅が廃止されることとなりました。廃止の数ヶ月後、旧構内軌道は直線化され、新たに運用が開始されたことも記憶に新しいところです。

駅の構造

上笠田駅は単式ホーム1面1線を持つ地上駅でした。かつては列車の行き違いが可能であり、それを活用して30分間隔で運行されていましたが、1977年の時点でこの設備は撤去され、以降は40分間隔に運行本数が減少しました。廃止時点では、列車の発着時に乗降する利用客がほとんどいなくなるほど利用者が減少していました。廃止後、駅の跡地にはホームや駐輪場も撤去され、駅の名残は完全に無くなりました。

利用状況

上笠田駅は主に通学や通勤のため利用されていましたが、利用者数は年々減少していきました。特にラッシュアワーを除く時間帯では、ほとんどの列車に乗降客がない状態が続いたため、駅の廃止は必然的な流れだったと言えるでしょう。乗降者数は天候や行事によっても変動が大きく、特定の年度には極端に高い数値が記録されることもありましたが、ピークを過ぎた後の低迷が続きました。

駅周辺の施設

上笠田駅の周りにはいくつかの有用な施設が存在しました。三重県いなべ警察署やイオン大安店、さらには上笠田城跡も近く、地域の生活を支える場所となっていました。また、三重県道9号「宇野」交差点や三重交通の「上笠田」停留所も近接しており、交通の要所としての役割を持っていました。特に明智川拱橋（めがね橋）は北勢線の撮影名所として知られ、多くのファンに親しまれていました。

その他の情報

駅周辺では、しばしばねこが見かけられることで知られていました。乗降客のいないホームに佇む姿は、訪れる人々にとっての癒しの風景でした。廃駅となった現在でも、その周辺景観や生態系の変化は地域に影響を与え続けています。

隣の駅

上笠田駅の近くには三岐鉄道の北勢線の楚原駅と麻生田駅が存在し、利用者にとっての接続点でもありました。これにより、地域内での移動が可能であり、かつては地域の交通網の一部として重要な役割を果たしていたのです。

上笠田駅は多くの歴史を持ちながら、時代の波に飲まれていった駅でした。その歴史を振り返ることで、地域の鉄道利用の変遷と共に、私たちの移動手段のあり方も考えさせられます。

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