上紺屋町

上紺屋町（かみこうやまち）

岡山県津山市に位置する上紺屋町は、歴史と生活が息づく地名です。その郵便番号は708-0076となっています。

地理

この地域は、津山市内を南北に走る主要な幹線道路である岡山県道68号津山加茂線、一般的に「奴通り」として親しまれている道路の西側に広がっています。比較的平坦な土地に位置し、古くからの市街地の一部を形成しています。「紺屋町」の名を持つ地域として、下紺屋町も存在しますが、上紺屋町とは物理的に隣接しているわけではありません。下紺屋町は、奴通りを隔てて上紺屋町の北東方面に位置しており、地名としては対をなすものの、直接的な繋がりはありません。

歴史

上紺屋町の地名の由来や歴史は、江戸時代まで遡ることができます。この地が現在の「上紺屋町」と呼ばれるようになったのは、元禄元年（1688年）のことです。それまでこの地域は「本紺屋町」と呼ばれていましたが、この年に改称されました。この改称は単独のものではなく、同時期に「片原紺屋町」も「下紺屋町」と名を改めており、これは当時の津山城下町の行政的な区画の見直しや整理の一環として行われたと考えられています。

明治時代に入り、日本全体で近代的な地方行政制度が導入される中で、上紺屋町もその所属を変えていきます。明治22年（1889年）6月1日に町村制が施行された際には、上紺屋町はかつての津山城下町の一部として、宮川より西側の他の町々と共に合併し、西北条郡津山町の一部となりました。

その後も行政区域の統合は進み、明治33年（1900年）4月1日には、津山町は東南条郡津山東町を編入しました。また、この同じ日に、西北条郡をはじめ、西西条郡、東南条郡、東北条郡といった周辺の郡が合併し、新たに広範な苫田郡が誕生しました。これにより、津山町は苫田郡の管轄下に入ることになります。

大正時代を経て、昭和時代に入ると、津山市の成立という大きな節目を迎えます。昭和4年（1929年）2月11日、苫田郡津山町は、周辺にあった多くの村や町と合併し、市制を施行しました。これにより「津山市」が誕生し、上紺屋町はその市域の中核を構成する地域の一つとなったのです。この広域合併は、現在の津山市の基礎を築く重要な出来事でした。

交通

地域内の主要な交通網としては、岡山県道68号津山加茂線が挙げられます。この県道は、上紺屋町の地域内においては全区間が「奴通り」として機能しており、住民の生活や市街地間の移動にとって欠かせない重要な道路です。奴通り沿いには、様々な商店や事業所が立地しており、地域の経済活動や賑わいを支えています。

地域内の施設

上紺屋町には、地域に根ざした施設がいくつか存在します。これまでに確認されている情報によると、「本家兵庫屋」や「季節料理おきの」といった飲食店、そして「くらや奴通り店」のような店舗があり、これらは地域の住民生活や来訪者にとって利便性を提供しています。これらの施設は主に奴通り沿いに位置していると考えられます。

参考文献

上紺屋町の歴史や地理、行政区画の変遷に関する記述は、主に以下の文献を参照しています。

和泉橋警察署 編纂 『新旧対照市町村一覧』第2冊（加藤孫次郎 発行, 東京, 明治22年[1889年]）
地名編纂委員会 編集 『角川日本地名大辞典33 岡山県』（角川学芸出版 発行, 昭和64年[1989年], ISBN 4040013301）

これらの資料は、上紺屋町を含む岡山県内の詳細な地名情報や、近現代における市町村合併の経緯を理解する上で貴重な手掛かりとなります。

関連項目

* 紺屋町 (曖昧さ回避)

「紺屋町」という地名は日本各地に広く見られるため、他の同名の地域と区別する際には、曖昧さ回避のための項目が参考になります。

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