上総大寺廃寺

上総大寺廃寺は、千葉県木更津市大寺に位置する古代寺院の遺跡です。この寺院は、史跡としての指定は受けていませんが、出土した露盤が千葉県指定有形文化財に指定されています。

概要

発掘された軒丸瓦の文様が、複弁八葉蓮華文であることから、奈良県飛鳥の四大寺の一つである川原寺との密接な関係が示唆されています。この文様は、川原寺の創建年代である7世紀後半のものと非常に近く、上総大寺廃寺は、上総国における最も古い寺院の一つと考えられています。

元禄年間（1688年から1704年）には、「塔の越」と呼ばれる場所から露盤が発見されました。地元では、「塔の沓石」や「護摩壇石」などと呼ばれていたそうです。この露盤は、層塔の最上部に設置される相輪の下に置かれる四角い盤であり、塔の頂上部分の防水の役割を果たしていました。石で作られた露盤は、各地で数例が確認されていますが、上総大寺廃寺の露盤は、その中でも特に古いものとされています。この露盤の存在は、上総大寺廃寺に木造の層塔が存在していたことを裏付け、大規模な伽藍が備わっていたことを示唆しています。

文化財

千葉県指定文化財

• - 有形文化財

- 上総大寺廃寺露盤（考古資料）：この露盤は、熊野神社が所有しており、2001年（平成13年）3月30日に千葉県指定有形文化財に指定されました。

アクセス

JR久留里線上総清川駅から小櫃川を渡り、徒歩約18分です。現在、大寺廃寺の跡地には熊野神社が建立されています。

上総大寺廃寺は、古代上総の歴史を物語る上で非常に重要な遺跡であり、その価値は今後の研究によってさらに明らかになることが期待されています。出土品や遺構を通じて、古代の寺院建築や仏教文化を理解する上で、貴重な手がかりを与えてくれるでしょう。

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