上街道 (上ツ道)

上ツ道について

上ツ道（かみつみち）は、古代日本において重要な官道の一つとして知られています。この道は、飛鳥時代に奈良盆地を南北に貫通するために整備され、近世にはその一部が街道として再利用されました。特に近世には、上街道（かみかいどう）とも呼ばれ、地元の交通の要所となりました。

歴史的背景

上ツ道は、6世紀後半から7世紀にかけて整備された古代の計画的な直線道路の一つです。この道は南北方向に延びる道路の中で最も東側に位置しており、当初は奈良市と桜井市を結ぶ重要な役割を果たしていました。現在の幹線道路に当たる国道169号に相当するこの道は、飛鳥時代において確実に利用されていたことが伺えます。

この道は、中ツ道や下ツ道とともに平行して延びており、地理的にも整然とした設計がなされていました。しかし、櫟井（いちい、天理市櫟本町）周辺から北にかけては、東側の山系の影響を受けて直線道路の痕跡が見えなくなっています。一方、桜井市から天理市南部にかけては、その形跡が比較的良好に残されています。

道の広さと接続

発掘調査によれば、上ツ道の幅は約43メートルとされています。桜井地域では「山田道」と接続し、今でも飛鳥方面へ続く重要な交通路としての側面を保持していました。しかし、平安京の遷都後、次第にその使用は減少し、維持されなくなったと考えられています。また、箸墓の近くは壬申の乱の古戦場としても知られ、歴史的な意味合いも持っています。

平安時代以降の変遷

平安時代に入ると、上ツ道は従来の官道としての機能は薄れ、その後は仏教信仰の高まりとともに寺院への参拝道として賑わうようになります。近世に入ると、その道の一部はやや西側にずれますが、それでも奈良、櫟本、丹波市、三輪、桜井といった町を結ぶ幹線道路として存続し続けました。この経路は、奈良から長谷寺や室生寺、さらには三輪明神への参拝道としても利用され、多くの人々に親しまれました。さらに、大坂、京都、奈良方面から伊勢へ向かう「伊勢街道」の一部としても活用されていました。

経路

上ツ道の主な経路には以下の地域が含まれます：

• - 奈良市
• - 奈良町（柳生街道、暗越奈良街道、京街道と分岐）
• - 帯解
• - 天理市
• - 櫟本（北の横大路と分岐）
• - 丹波市
• - 柳本
• - 桜井市
• - 三輪
• - 慈恩寺（山田道、初瀬街道、横大路と分岐）

関連項目

大和の古道
日本の古代道路
* 伊勢参宮街道

上ツ道は、長い歴史の中でさまざまな役割を果たしてきた重要な交通路です。なぜなら、その地域の文化や歴史、人々の暮らしと切り離すことのできない場所であるからです。

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