伊勢参宮街道

伊勢参宮街道：神宮への道、歴史と文化が息づく旅路

伊勢参宮街道とは、日本各地から伊勢神宮への参拝のために整備された街道の総称です。この街道は、単一の道ではなく、複数のルートから構成されており、それぞれに異なる歴史と特徴を持っています。古くから多くの人々が神宮を目指して歩いたこれらの道は、単なる移動手段としてだけでなく、日本の歴史や文化を今に伝える重要な役割を果たしています。

主要な街道

伊勢参宮街道は、大きく分けて以下の三つの街道が主要なルートとして知られています。

伊勢街道: 日永の追分で東海道から分岐し、伊勢へと至る道です。現在では国道23号や三重県道428号線として整備されており、現代の交通網の一部を担っています。
伊勢本街道: 大阪の玉造稲荷神社を起点とし、各地を経由して伊勢へと至る道です。この街道は、竹内街道、横大路、暗越奈良[[街道]]などの古道と連結しており、歴史的な遺産が豊富に残っています。
参宮街道: 桜井で初瀬街道と分かれ、大宇陀を経由して伊勢に至る道です。この街道は、和歌山街道と接続しており、関西方面からの参拝者にとって重要なルートでした。

支道と古道

伊勢参宮街道には、上記の主要な街道以外にも、多くの支道や古道が存在します。これらの道は、地域ごとの歴史や文化を反映しており、街道全体に多様性をもたらしています。

伊勢別街道: 関宿で東海道から分岐し、椋本宿を経由して伊勢街道に合流する道です。一身田という寺内町を通り、歴史的な雰囲気を色濃く残しています。
初瀬街道: 桜井で参宮街道と分かれ、あお越えを経由して伊勢街道に合流する道です。現在では国道165号として整備され、交通の要所となっています。
和歌山街道: 和歌山から吉野を経由し、参宮街道と合流・分岐しながら松阪へと至る道です。
竹内街道: 飛鳥時代から存在する古道で、江戸時代以降は伊勢本街道の一部として利用されました。
横大路: 同じく飛鳥時代からの古道で、竹内街道と長尾街道の交点付近と藤原京を結んでいた道で、江戸時代以降は伊勢本街道の一部となりました。
暗越奈良[[街道]]: 奈良時代からの古道で、江戸時代以降は伊勢本街道の一部として使われました。
上街道: 飛鳥時代から存在する古道で、奈良から桜井へと続く道です。
清滝[[街道]]: 行基道とも呼ばれる道で、守口宿から清滝峠を越えて東へ進み、奈良[[街道]]に接続する道です。
伊賀[[街道]]: 奈良から伊賀を経て津に至る道で、伊賀越奈良道とも呼ばれています。
奈良[[街道]]: 五百野で伊賀[[街道]]から分岐し、久居城下を経て伊勢街道に合流する道です。こちらも伊賀越奈良道の別名があります。
伊勢路: 伊勢神宮から熊野三山へと続く参詣道です。

現代の道路と伊勢参宮街道

現代においては、下記の道路が伊勢参宮街道やその一部として認識されています。これらの道路は、往時の街道を基に整備されたものや、並行して走るものがあります。

国道1号: 東京から伊勢神宮に至る区間があり、かつては「参宮国道」と呼ばれていました。
国道23号: 四日市市から松阪市、伊勢市を結ぶ区間。
三重県道22号線: 伊勢市内を走る区間。
国道166号: 羽曳野市から松阪市を結ぶ区間。
国道368号: 御杖村から松阪市を結ぶ区間。
国道369号: 奈良市から松阪市を結ぶ区間（一部国道368号と重複）。

餅街道としての側面

伊勢参宮街道は、「餅街道」という異名も持っています。街道沿いには多くの茶屋が軒を連ね、旅人をもてなすために様々な餅菓子が発達しました。桑名の安永餅から始まり、四日市の嶋小、文蔵餅、なが餅、鈴鹿の立石餅、小俣のへんば餅、そして伊勢の二軒茶屋餅、太閤出世餅、赤福餅と、地域ごとに特色ある餅菓子が存在します。これらの餅は、旅人にとっての楽しみであり、腹持ちが良く、長い旅路を支える重要な役割を担っていました。また、伊勢国が米どころであったことも、餅菓子が発達した要因の一つです。


伊勢参宮街道は、その長い歴史と多様なルートを通じて、日本の文化と歴史を今に伝えています。これらの街道を歩くことは、単なる移動ではなく、日本の歴史と文化を肌で感じる貴重な体験となるでしょう。

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