上野篤

上野篤（1882年4月8日 - 1926年9月23日）は、日本の政治家であり、第7代鹿児島市長を務めた人物です。東京高等師範学校を卒業後、教育者としてのキャリアをスタートさせ、鳥取県師範学校で教鞭を執りました。その後、大阪市役所に入庁し、主事として活躍。財団法人協調会参事も務めるなど、幅広い分野でその能力を発揮しました。

1923年、上野は当時の鹿児島市長であった伊集院俊に請われ、助役として鹿児島市役所に入庁しました。その手腕は高く評価され、1925年2月4日に伊集院が急逝すると、市長代理を経て、同年5月28日に正式に第7代鹿児島市長に就任しました。

市長としての上野は、都市の発展に大きく貢献しました。市章の制定、青少年教育の充実、学校施設の整備、そして市民の文化活動の拠点となる市公会堂の建設など、数々の業績を挙げました。これらの政策は、今日の鹿児島市の基礎を築いたと言えるでしょう。

しかし、上野の市長としての活躍は、突然の悲劇によって終わりを迎えます。1926年9月、公務のため妻子を連れて上京した帰り道、山陽本線で特急列車が脱線する事故に遭遇しました。この事故により、上野は当時4歳だった息子と共に命を落とし、妻は重傷を負いました。突然の悲報は、鹿児島市民に深い悲しみをもたらしました。

上野の親族には、俳優の上原謙がいます。上原謙は、上野の妻の従弟にあたります。上野が上京した理由の一つには、妻の実家の跡継ぎ問題がありました。分家から池端清亮（後の上原謙）を養子に迎える話を進めるためでしたが、この列車事故により、養子縁組の話は白紙となりました。この出来事は、2015年にNHKの番組「ファミリーヒストリー」で、清亮の息子の加山雄三が登場した際に取り上げられ、再び注目を集めました。

上野篤は、その短い生涯の中で、教育者、行政官、そして市長として、多岐にわたる分野で貢献しました。彼の功績は、今もなお鹿児島市に深く刻まれています。

参考文献
『日本の歴代市長』 第3巻、歴代知事編纂会、1983年。
『鹿児島市史』 第2巻、鹿児島市、1970年。
* 勝目清 著『勝目清回顧録 : 鹿児島市秘話』南日本新聞社、1964年。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2994349。

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