下り特急「富士」殺人事件

下り特急「富士」殺人事件

西村京太郎の長編推理小説『下り特急「富士」殺人事件』は、1983年に光文社から刊行されました。本作は、『北帰行殺人事件』で逮捕された元刑事・橋本豊のその後を描いた作品です。橋本は、作中で誤認逮捕をされるという不運に見舞われますが、後の作品でも度々逮捕されることになります。

あらすじ

かつて恋人をレイプした犯人グループに復讐を果たし、網走刑務所に服役していた元刑事の橋本豊。彼は刑務所内で孤立していましたが、ある時、宇野晋平という老受刑者に助けられたことをきっかけに親交を深めます。しかし、宇野は橋本を庇った際に負った傷が原因で死亡。出所直前にその事実を知らされた橋本は、深い後悔の念に苛まれます。

出所当日、橋本は刑務所長から、宇野の遺品を東京在住の知人・小田切正に届けてほしいと頼まれます。刑務所の前で橋本を待っていた女性記者・青木亜木子と共に東京へ向かい、小田切のもとを訪ねますが、そこで出会ったのは偽物でした。偽物を追い払った後、本物の小田切から電話があり、特急富士の中で遺品を渡してほしいと依頼されます。

橋本は亜木子を伴い特急富士に乗車しますが、直後から彼のコンパートメントが何者かに荒らされたり、小田切の恋人を名乗る謎の女性が現れたりと、不穏な出来事が続きます。小田切らしき人物が車内から姿を消すというトラブルに見舞われながらも、二人は宇佐に到着。しかし、そこでも異変は続き、亜木子が誘拐されるという最悪の事態に発展します。橋本の旅路の終着には、一体何が待ち受けているのでしょうか？

登場人物

警視庁捜査一課

十津川省三
亀井定雄

各都道府県警

宮崎県警
五井刑事
刑事部長

事件関係者

橋本豊: 元東京警視庁捜査一課勤務の刑事。
青木亜木子: 雑誌「旅窓」の記者。
宇野晋平: 網走刑務所に収監されていた老受刑者。
小田切正: 宇野の知人。
戸田きみ子: 小田切の知人だという謎の女性。

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