下位春吉

下位 春吉（しもい はるきち）

下位春吉（1883年10月20日 - 1954年12月1日）は、日本の著名な教育者、詩人、そして童話口演家として知られています。彼は日本とイタリアの文化交流の架け橋として重要な役割を果たし、特にイタリアファシズムの理念を日本に紹介したことで注目されました。

経歴

下位春吉は、福岡県の士族井上家に生まれました。この家族は明治維新後に没落し、困窮を強いられたため、彼は家族と共に東京へ移り住みました。旧制東筑中学を卒業後、東京高等師範学校英語科に進学し、商人の養子となります。彼の詩の才能は、師である土井晩翠によって開花し、1911年には「大塚講話会」を設立。独自の童話の口演活動で名を広め、特に『ゴンザ蟲』や『お噺の仕方』などの作品が評価されました。これらの作品は、当時の日本の童話史において重要な位置を占めています。

イタリアでの活動

1915年、春吉はダンテ・アリギエーリの研究のためにナポリに渡り、その後国立東洋学院で日本語教授として働くことになります。彼は、イタリアの文人たちとの交流を深め、文化交流を促進する活動を行いました。第一次世界大戦中、春吉はイタリア軍に志願し、戦闘に参加しました。この経験を経て、彼はイタリア政府からいくつかの勲章を授与されました。

ダンヌンツィオとの関係

春吉が詩人ダンヌンツィオと知り合ったのは1918年のことです。彼はダンヌンツィオの計画に同行し、フィウーメ問題に関与するなど、重要な役割を果たしました。ダンヌンツィオによるフィウーメ占領後、彼は「名誉伍長」として任命され、外部との連絡を担うことになります。この期間に、ムッソリーニとも関係を深め、日本へのイタリア文化の紹介を進めました。

日本での活動

1924年に日本へ帰国した春吉は、国士舘大学教授や多くの教育機関で教鞭をとりながら、政治や社会活動にも積極的に関わりました。彼は皇国青年党を設立し、ムッソリーニの思想を日本へ広める役割を担っていました。彼の提言により、ムッソリーニの意向で建立された白虎隊の記念碑が若松市に設置されました。

晩年と死

下位春吉は、戦後に公職追放となりましたが、イタリア文化を広める活動は続けました。彼の死後も、その業績は日本とイタリアの文化交流において重要な足跡として残っています。1954年12月1日、彼は人生を閉じました。その歴史的な影響は、今も多くの人々によって語り継がれています。

主な著作と翻訳

下位春吉はさまざまな著書を残しています。特に『お噺の仕方』や『ファッショ運動とムッソリーニ』など、当時の社会状況や文化を反映した作品が多く、その思想や理念は後世にも影響を及ぼしました。また、彼はムッソリーニの演説を翻訳するなど、イタリア文学の普及にも尽力しました。これらの活動を通じ、下位春吉は日本におけるイタリア文化の紹介者として重要な存在となったのです。

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