公職追放

公職追放について

公職追放（こうしょくついほう）は、政府及び民間企業の重要な職務に就くことを禁止されることを指します。特に日本においては、第二次世界大戦の終結後、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の指示に基づいて行われました。この追放政策は、特定の関係者が公職に就くことを禁じるもので、戦後の日本の政治と社会に大きな影響を及ぼしました。

背景

1945年9月2日、日本はポツダム宣言に調印し、これにより連合国の占領が始まりました。ポツダム宣言第6項には「日本国民を欺いて世界征服に乗り出す過ちを犯させた勢力を永久に除去する」という文言が含まれていました。この宣言に従い、GHQは日本の政治、経済、社会から軍国主義を一掃することを目的として、軍国主義者や極端な国家主義者の追放を命じました。政治的自由の制限に関する覚書では、警察の高官や教育関係者に対しても追放が指示されました。

追放の基準と対象

追放の制裁は様々な基準に基づいて定義され、具体的には、侵略的な思想を持つ者や、全体主義的な政治理念を推進した者、他民族に対する偏見や迫害を行った者等が対象となりました。1946年には連合国最高司令官の覚書に基づき、公職に就くことが不適切と判断された人々が公職追放の対象となりました。追放の対象者は7つのカテゴリーに分けられ、戦争犯罪人や軍人、国家主義団体の指導者などが含まれていました。

その後、1947年には追放の規模が拡大され、戦前の有力企業の経営者や大規模な寄付をした者たちも追放対象に追加され、最終的には20万人以上が公職を追われました。

政治的影響

公職追放により、日本の政財界は大きく変革を迎えました。旧体制の重鎮が引退し、新たな若手層が台頭したことに伴い、政治の構造も変わりました。政府の追放政策は一時的な反軍国主義を促進し、左派勢力の台頭を助長することになりました。しかしながら、実際には追放が徹底されず、官僚や裁判官の中には旧来の保守的な人脈が残っていたことも指摘されています。

その後の動向

1948年以降、社会情勢の変化により追放の対象が変わり、今度は共産主義者やその支持者に対する「レッドパージ」が行われました。政治的な潮流の変化の中で、公職追放の取り消しを求める動きも見られ、1949年から1952年にかけては、徐々に多くの追放者が復帰を果たしました。

1952年、サンフランシスコ平和条約の発効によって、多くの公職追放が解除され、日本社会はその後、新たな時代に突入することとなりました。このような歴史的背景を持つ公職追放は、日本の戦後政治における重要な一因となり、今なおその影響を考察することが求められています。

もう一度検索