下山一二三

下山一二三（しもやまひふみ）は、1930年6月21日に青森県弘前市で生まれ、2023年12月16日に生涯を閉じた日本の現代音楽の作曲家です。

生涯と音楽への道

第二次世界大戦終戦を機に、独学で音楽の探求を始めました。青森県立弘前高等学校、弘前大学を経て、1955年に上京。松平頼則に師事し、作曲家としての道を歩み始めます。1956年には、同志と共に「グループ20.5」を結成し、作品発表会を開催。1961年の第6回発表会をもってグループを解散しましたが、この活動を通じて、下山は作曲家としての基礎を築きました。

国際的な活躍

1969年、ISCM主催の世界音楽祭（ハンブルク）に「3群の弦楽オーケストラのためのリフレクション」が入選したことで、国際的な舞台へと躍り出ました。その後も、1979年に文化庁主催の芸術祭で「管弦楽のための彩響」が芸術祭優秀賞を受賞、1992年には「6人の奏者とテープのための風紋V」が「ワルシャワの秋92」で世界初演されるなど、数々の賞を受賞し、国際的な評価を確立しました。2001年には、ISCM主催の「World Music Days（横浜）」に「深響」が入選するなど、その作品は国内外で高く評価されています。

作風と作品

初期には音列技法を取り入れていましたが、次第にその手法に疑問を感じ、独自の音響哲学を探求するようになります。ポーランド楽派との出会いをきっかけに、「ゾーン」「リフレクション」「エクソルシズム」の三作品で国際的な名声を確立しました。同世代の作曲家の中でも、邦楽に対する深い知識を持っていたにも関わらず、邦楽器を用いた作品を手掛け始めたのは1980年代と比較的遅い時期でしたが、「風の塔」や「巫覡」といった緊張感に満ちた作品を生み出しました。

「ゾーン」の作曲においては、自らヴァイオリンを手に取り、特殊な効果を検証しながら作曲に臨むなど、身体性を重視した作曲手法を取り入れています。「風紋」は、テープ部分は同一であるものの、楽器法が全て異なるという連作であり、下山の楽器法と音色美の変遷を知る上で重要な作品です。

下山の作品は、ツェルボーニ社、マザーアース社、そして日本作曲家協議会から出版されており、多くの楽譜やCDが現在も入手可能です。

下山一二三は、その独創的な音楽性で、日本の現代音楽界に大きな足跡を残しました。彼の作品は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

外部リンク

下山一二三公式ホームページ
下山一二三楽譜CD／マザーアース

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