下総小金中野牧跡

下総小金中野牧跡

下総小金中野牧跡は、江戸幕府が軍馬育成のために設置した放牧場、小金牧の一部です。小金五牧の中でも最大規模を誇った中野牧は、現在の千葉県北西部、松戸市、柏市、鎌ケ谷市、白井市にまたがる広大な土地でした。この中野牧の中心的な役割を担っていたのが、今回史跡として指定された場所です。

史跡の概要

この史跡には、放牧されていた馬を捕獲するための施設である捕込跡や、馬を追い込むために作られた勢子土手が残っています。捕込跡は「白子捕込」と呼ばれており、文献によると1736年から1740年の間に拡張されたとされています。この捕込は、東、西、南の3つの区画からなり、全体で約7,000平方メートルの広さがあったと考えられています。

東側の捕込跡は長方形で、土手の基底幅が8〜9.5メートル、高さが2.5〜3.5メートルありました。西側の捕込跡は失われている部分が多いですが、長方形であったと推測され、基底幅6〜6.5メートル、高さ約4メートルあったと考えられます。南側の捕込跡は不整形な長方形で、土手の基底幅は8〜9メートルと推測されています。東と西の捕込の間、および南の捕込の東側が開いており、捕込を仕切る土手の近くには、幕府の役人が捕獲された馬を検分する場所がありました。

また、捕込跡から東に約2キロメートルの場所には、1716年から1736年の間に作られたとされる勢子土手が現存しています。この土手は基底幅約8メートル、高さ1.2〜2.6メートル、長さ約172メートルです。史跡の現地には、国史跡を示す石碑と説明板が設置されています。

史跡指定の経緯

この場所は、1976年に地元住民の調査によってその重要性が再認識され、翌年には千葉県の県指定史跡となりました。さらに、2007年には、江戸幕府の軍馬生産体制を理解する上で貴重な遺構として、捕込跡と勢子土手の一部が国の史跡に指定されました。しかし、指定された範囲は中野牧全体から見るとごく一部であり、土手の長さで約0.1パーセント、面積では約0.008パーセントに過ぎません。そのため、史跡指定の際には、その名称が誤解を招くのではないかという指摘もありました。

所在地と関連情報

所在地は、千葉県鎌ケ谷市東中沢二丁目、初富本町二丁目、東初富一丁目です。関連する情報としては、小金牧全体についての資料や、関東地方の史跡一覧、ちば遺産100選などがあります。

参考文献

• - 国指定文化財等データベース
• - 京葉ガスふれあいGASパーク
• - 鎌ケ谷の名所・見どころ紹介（鎌ケ谷市商工会）

下総小金中野牧跡は、江戸時代の牧の様子を知ることができる貴重な場所です。現地を訪れることで、当時の人々の生活や文化に触れることができるでしょう。

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