下総飯田藩

下総飯田藩の歴史と藩主

下総飯田藩（しもうさいいだはん）は、江戸時代初期の短命の藩であり、現在の千葉県香取市下飯田に陣屋を構えていました。この藩は、1608年に青山成重が1万石の大名に加増されて成立しましたが、わずか5年後の1613年には廃藩となってしまいます。

藩主・青山成重の系譜

藩主の青山成重は、三河譜代の青山家に属しており、元亀2年（1571年）に戦死した青山忠重の親族です。徳川家康の命によって家督を継いだ成重は、まず家康の近習として仕官し、その後、徳川秀忠の傅役も務めるなど、有力な家臣としての地位を確立しました。

土地の獲得と藩の成立

天正18年（1590年）、家康が関東に入国した際、成重は下総国香取郡で3000石を領有しました。その後、慶長6年（1601年）に2000石が加増され、さらには慶長13年（1608年）12月25日に老中に任じられた際に知行高が1万石に達し、飯田藩が正式に設立されました。

大久保長安事件と藩の廃止

しかし、慶長18年（1613年）の大久保長安事件に関与したことで、成重は大久保長安の三男である青山成国を養子として迎えていたことから、同年8月に7000石を没収され、残りの知行地での生活を強いられることとなりました。この事件が直接的な原因となり、飯田藩は廃藩に至ります。青山成国も同じ年の8月9日に命を落とし、藩の存続に影響を及ぼしました。

藩主の最期と子孫

元和元年（1615年）、青山成重は赦免を受けぬまま、飯田で亡くなりました。その後、知行地は一時収公されましたが、成重の実子である青山成次が旧領の一部1000石を与えられました。成次の子孫も次第に勢力を増し、特に成政は御先鉄炮頭として1200石に加増され、成存は勘定奉行を務めるなど、青山家の名はその後も続きます。

陣屋と地域の伝承

下総飯田村は香取郡と海上郡の境に位置し、当時の藩の陣屋（飯田陣屋）は下飯田の西音寺近くにありました。この地域には中世に森山城があったことも知られています。飯田陣屋は寛永年間（1624年 - 1644年）に取り壊されたものの、幕末まで青山家は下飯田村を所領として保有していました。

このように、下総飯田藩は江戸時代の政治情勢の中で短期間ながらも存在し、青山家の一族が地域で果たした役割や事件の影響を歴史に刻みました。

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