下西啓正

下西 啓正

下西 啓正（しもにし ひろまさ）は、1977年に埼玉県富士見市で生まれた日本の劇作家、演出家です。自身の率いる演劇ユニット「乞局（こつぼね）」の主宰者として、その創作活動の中心を担っています。

慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、演劇の世界に進んだ下西は、2000年に「乞局」を旗揚げしました。以来、「乞局」の全作品において脚本と演出を一貫して手掛けており、主宰者として団体の芸術的方向性を決定づけています。彼の作品は、日常の隙間に潜む不条理や人間の内面を鋭く描き出すものとして知られ、観る者に深い問いを投げかける独特の世界観を構築しています。

劇作家、演出家としての活動に加え、下西は俳優としても舞台に立っています。特に、現代演劇シーンで国内外から高い注目を集める劇団「チェルフィッチュ」の公演に出演した経験があり、パフォーマーとしての側面も持ち合わせています。この多様な経験が、彼の作品創りにも影響を与えていると考えられます。

下西の劇作は、数々の賞によってその才能が認められています。第7回「乞局」公演で上演された戯曲「汚い月」は、その斬新な視点と構成が高く評価され、2005年に第11回日本劇作家協会新人戯曲賞において優秀賞を受賞しました。これは、新進気鋭の劇作家として彼が頭角を現す契機となりました。

さらに、第八回公演で発表された「耽餌（たぬび）」は、2007年の第5回かながわ戯曲賞で佳作に入選。そして、第11回公演の「廻罠（わたみ）」は、2009年の第6回かながわ戯曲賞において見事最優秀賞を受賞しました。かながわ戯曲賞は、神奈川県立青少年センターが主催する権威ある戯曲賞であり、最優秀賞の受賞は、彼の劇作が最高レベルで評価されたことを意味します。「廻罠」は、現代社会に潜む歪みや人間の心の機微を繊細かつ力強く描いた作品として、高い評価を得ました。これらの受賞は、下西啓正が単なる劇団主宰に留まらず、優れた劇作家としても日本の現代演劇において確固たる地位を築いていることを示しています。

「乞局」としての活動は、小劇場を中心に独自のペースで続けられており、その公演は常に演劇ファンから注目を集めています。社会や人間の本質を見つめる彼の視点、そしてそれを舞台上で表現する手腕は、今後も多くの観客や関係者から期待されるでしょう。

（注：本記事は提供された情報に基づき記述しています。作風の詳細や哲学、最新の活動については、公式サイト等をご参照ください。提供された情報には、乞局の公式サイトへのリンクがアーカイブとして記載されていました。）

主な受賞歴:
第11回日本劇作家協会新人戯曲賞 優秀賞（作品：「汚い月」）
第5回かながわ戯曲賞 佳作（作品：「耽餌」）
第6回かながわ戯曲賞 最優秀賞（作品：「廻罠」）

外部リンク:
乞局 - ウェイバックマシン（2002年10月24日アーカイブ分）

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