下野國一社八幡宮

下野國一社八幡宮：歴史と信仰が息づく足利の神社

栃木県足利市八幡町に位置する下野國一社八幡宮は、平安時代中期、前九年の役の戦勝祈願のため、源頼義と源義家によって創建されたと伝えられる由緒ある神社です。創建は天喜4年（1056年）とされており、男山八幡宮を勧請したとされています。

源氏と足利氏の庇護

創建後は、源氏一族、特に源姓足利氏の庇護を受け、発展を遂げました。足利荘に鎮座していたことから、古くは「足利荘八幡宮」と呼ばれていました。下野国における八幡宮の中でも最も重要な神社であったことから、「下野國一社八幡宮」や「一國一社八幡宮」とも称され、地域の人々から厚い信仰を集めてきました。祭神は誉田別尊、大帯姫命、姫大神です。

荘厳な社殿と数々の文化財

現在の社殿は文化11年（1814年）に再建されたもので、幣殿と拝殿は平成8年から9年にかけて保存修理が行われ、歴史的建造物の美しさを保っています。境内には、数多くの境内社が鎮座し、それぞれが独自の信仰を集めています。

中でも注目すべきは門田稲荷神社です。榎木稲荷、伏見稲荷と並び「日本三大縁切稲荷」の一つに数えられており、男女間の縁切り、病気平癒、厄除けにご利益があるとされています。例祭は旧暦2月最初の午の日に行われる初午祭です。

下野國一社八幡宮は、数多くの文化財を有していることでも知られています。県指定文化財としては、八幡宮本殿附八幡宮本社再建図、八幡郷検地帳、八幡山古墳群、市指定文化財としては幣殿・拝殿、銅像鳥居、大永化縁状、下野足利領八幡山御縄打水帳及び名寄帳、延文記録、八幡宮クロマツ、放生会の碑などがあります。特に八幡宮クロマツは、樹齢約600年と推定され、市内最古の古木として貴重な存在です。

現代に受け継がれる伝統行事

年間を通して様々な祭事が執り行われています。例祭は4月10日に行われる春祭です。その他、歳旦祭、初詣、建国祭、大祓式、八坂神社例祭（夏祭）、大祭（秋祭）、新嘗祭など、季節の移ろいと共に伝統行事が続けられています。

萌えおこしと現代社会

近年では、2010年7月より門田稲荷神社と同市内の織姫神社を中心に「あしかがひめたま」という萌えおこしプロジェクトも展開されており、歴史と現代が融合した新たな魅力を生み出しています。

下野國一社八幡宮は、長い歴史の中で培われた信仰と、数々の文化財、そして現代へと続く伝統行事を持ち合わせた、足利市の象徴的な神社です。その荘厳な社殿と静寂な境内は、訪れる人々に安らぎと歴史の重みを感じさせるでしょう。

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