足利荘

足利荘とは

足利荘（あしかがのしょう）は、下野国足利郡、現在の栃木県足利市一帯に存在した荘園です。その領域は足利郡全域に加え、安蘇郡の一部である赤見郷にも及んでいました。成立当初は、田畑がそれぞれ約100町ずつ存在したと記録されています。

足利荘の成立と二つの足利氏

足利荘は、源義国が先祖である源義家から受け継いだ開発地を、鳥羽上皇が建立した安楽寿院に寄進したことによって成立しました。この寄進により、足利荘は八条院領となり、河内源氏の家人であった藤原秀郷の流れを汲む藤原姓足利氏が支配を担うことになります。

興味深いのは、源義国を祖とする源姓足利氏と藤原姓足利氏という、二つの足利氏が存在したことです。当初、両氏は対立関係にはなく、常陸平氏に対抗するため協力関係を築いていました。源姓足利氏は在京軍事貴族として荘園の預所職を、藤原姓足利氏は地域に根付いた下司職をそれぞれ担っていたと見られています。

しかし、源義国が朝廷の怒りを買い、足利に下向して近隣の新田荘や簗田御厨の開発に両足利氏が乗り出すと、両者の関係は次第に競合へと変化し、対立を深めていくことになります。

支配者の変遷と足利氏の隆盛

仁安年間には、平氏が一時的に足利荘を支配しますが、源頼朝によって藤姓足利俊綱が滅ぼされると、源姓足利氏が支配権を確立し、地頭職を歴任します。源義兼（足利義兼）は出家後、自身の邸宅の一部に鑁阿寺を建立しました。足利尊氏が室町幕府を樹立すると、足利氏発祥の地である足利は重要視されるようになります。しかし、京都から遠く離れた東国に位置する足利は、幕府による直接的な管理が困難であったため、鎌倉府が代わって管理を行うことになります。

小山氏の乱によって、当時の下野国守護であった小山氏が一時的に滅亡すると、代わりに守護となった木戸法季が守護所を小山から足利へと一時的に移転させました。また、隣接する簗田御厨との区別が曖昧になり、簗田御厨も足利荘の一部として扱われるようになります。

鎌倉府との対立と足利荘の終焉

上杉禅秀の乱をきっかけに、応永24年（1417年）頃から幕府代官が足利荘に派遣され、鎌倉府の支配から切り離されます。これに反発した鎌倉公方・足利持氏は、応永30年（1423年）に幕府代官を追放し、足利荘を強引に支配下に置きます。

その後、和議が成立するも、永享の乱、結城合戦、享徳の乱と戦乱が続き、最終的には関東管領・上杉房顕が足利荘を管理することになり、代官として長尾景人が足利に派遣されます。山内上杉家と足利長尾家による管理体制は戦国時代末期まで続きますが、天正12年（1584年）の北条氏による足利占領によって、足利荘はその歴史を終えることになります。

足利荘の年表

1137年（保延3年）: 源義国が開発地を安楽寿院に寄進し、足利荘が成立
1150年（久安6年）: 源義国が足利荘に下向（源姓足利氏の始まり）
1333年（元弘3年）: 鎌倉幕府滅亡
1338年（延元3年）: 足利尊氏が京都に幕府を開く
1439年（永享11年）: 上杉憲実が足利学校を再興
1584年（天正12年）: 北条氏が足利を占領
1869年（明治2年）: 足利藩主が版籍奉還
1871年（明治4年）: 廃藩置県により足利県となる、後に栃木県に編入
1889年（明治21年）: 町村制施行により足利町となる
1921年（大正10年）: 市制施行により足利市となる

関連項目

八条院領
足利学校

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