下飯坂潤夫

下飯坂 潤夫について

下飯坂潤夫（しもいいざか ますお、1894年1月29日 - 1971年12月26日）は、日本の著名な裁判官であり、最高裁判所判事として多くの重要な事件に携わった人物です。宮城県に生まれ、学問を志して旧制宮城県立仙台第一中学校、旧制第二高等学校を経て、東京帝国大学法科大学を卒業しました。彼の家族の中には、シナリオ作家の下飯坂菊馬や小説家の橘かがりといった文化人もおり、彼の影響を受けた多様な分野で活躍する人々がいます。

経歴と業績

下飯坂は、彼のキャリアの初期において、鳥取地裁所長や水戸地裁所長、新潟地裁所長などを歴任し、その後、札幌高等裁判所、名古屋高等裁判所、大阪高等裁判所の長官としても多くの法的な決定を下しました。1956年11月、最高裁判事に就任し、岩松三郎の後任として名を馳せました。彼が指名された背景には、東京高裁長官安部恕の辞退があったため、下飯坂は名誉ある地位に就くこととなりました。

下飯坂の判決は、数々の重要な裁判に影響を与えました。八海事件の第二次上告審では、単独犯行説ではなく、5人による犯行とする立場を取り、その結果、1962年5月17日に無罪判決を破棄し、広島高裁に事件を戻す決定を下しました。この事件は1968年に最終的に無罪判決が確定しました。さらに松川事件では、有罪の立場を堅持し、仙台高裁判決を強く批判しました。しかし最終的には、最高裁第一小法廷において、無罪判決が下される結果となりました。

下飯坂は1964年1月に最高裁判事を退官しましたが、その後も法理論と法治の重要性を説き続けました。白鳥事件の上告審では、彼も審理に加わる機会がありましたが、松川事件における彼の判決に対する批判によって弁護団から忌避される事態となりました。彼の裁判官としての信念は、「当然なことを着実にやりたい」であり、事件への真摯な取り組みを重視していました。

影響と死去

1971年12月26日、下飯坂は東京都三鷹市の自宅で脳軟化症により逝去しました。彼の死後、松川事件の判決文が遺体と共に棺に納められたことは、彼にとってこの事件が生涯の中で最も悔いの残る出来事であったことを示しています。彼の業績は日本の法制度の発展に大きく寄与しました。

趣味と文化

下飯坂は、趣味として歌舞伎や野球、ラグビー観戦を楽しむなど、文化的な側面にも積極的でした。彼の多面的な人物像は、法曹界だけでなく、一般市民にも親しまれる存在であったことを物語っています。

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