不伝流

不伝流剣術の概要

不伝流（ふでんりゅう）は、日本の古流剣術の一派であり、戦国時代の剣士である伊東不伝によって設立されました。この流派は、装飾的な動作を排した実戦を重視する剣術として知られています。江戸時代には松江藩の御家流として広まり、現在でもその技術は受け継がれています。

歴史と発展

不伝流は、江戸時代初頭に伊東不伝の高弟である戸田市左衛門（孫一）が流派を継承し、戸田不伝と名乗りました。戸田不伝は徳川家康の警護役を務めており、彼の指導の下で不伝流剣法が形成されていきました。この剣術は家康に仕える者たちに広まり、彼の護衛を担う流派としての地位を確立しました。

江戸時代の後半、戸田不伝は松江藩の藩主松平直政に仕官し、その嫡子である戸田重政が三代宗家に就任しました。享保10年、重政が亡くなると、門下生の伊藤長太夫次春（後の伊藤不伝）が松江藩に仕官しました。彼は浅山一伝一存の高弟とされ、その技術を不伝流に取り入れることで「不伝流居相」という新たな流派を確立しました。

流派の変遷と影響

浅山一伝流からの技術を融合させた不伝流居相は、松江藩の御家流として、その後も大切にされました。小学館の『日本大百科全書ニッポニカ』によれば、伊藤不伝は師の教えを整理し、純粋な教えを基に居合道の流派を設立したとされています。このように、流派の興隆には多くの師匠や弟子の存在が重要な役割を果たしました。

さらに、江戸時代の松江藩主松平治郷（不昧）は、不伝流居相の研究を進め、藩の士族たちへその技術を教えました。彼は不伝流の奥義を記した「坤の巻」を執筆し、藩士たちに広めました。

不伝流の衰退と再興

明治時代に入ると、不伝流は一時的な衰退を遂げ、松江にあった道場は解散してしまいました。しかし、2012年、札幌に居住する戸田家の後裔である戸田基治（十四世宗家戸田不伝）が古文書に依拠し、不伝流を復興させました。彼の取り組みは、再びこの流派を蘇らせるきっかけとなり、松江でも有志たちが戸田家から学びながら不伝流を再興しようとする動きが見られるようになりました。

このように、不伝流剣術は多くの歴史を経て現在に至っています。伝承された技術や理念は、今もなお剣術界で生き続けています。

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