不動利益経

不動利益経の概要

『不動利益経』は、「Āneñja-sappāya-sutta」とも呼ばれ、パーリ仏典経蔵の中部に位置する第106経に該当します。また、同様の内容を持つ伝統的な漢訳経典として『中阿含経』の中にある第75経「浄不動道経」があります。この経典では、偉大なる釈迦が比丘たちに向けて、禅定に関する貴重な教えを授けています。

構成と登場人物

本経には二つの主要な登場人物がいます。一人は釈迦その人であり、もう一人は彼の弟子であるアーナンダです。彼らの対話を通じて、深遠な精神的真理が探求されます。

場面設定

経典の物語は、釈迦がクル国のカンマーサダンマ村に滞在している時に展開されます。釈迦は、そこで比丘たちに対し、四つの禅定や四つの無色定について教えを説いています。これらの教えは、精神的な修行における重要なステップを象徴しています。

主な教え

一つの重要な探求の中で、アーナンダが「最も強い執着は何か？」という質問を投げかけます。この問いに対し、釈迦は「非想非非想処」という四無色定の最上位に達することで執着が生まれると答えました。
この教えは、無関心に囚われてしまうことが、この道を歩む者にとっての盲点であると示唆しています。比丘たちは釈迦の教えに触れ、その深淵なる真理に歓喜し、心が昂揚するのでした。

教典の意義

『不動利益経』は、禅定についての理解を深めるだけでなく、自らの内面の探求においても道しるべとなります。この経典によって、修行者は心の強さと、それに伴う障害をいかに克服するかを考えるきっかけを得るのです。

日本語訳と参考文献

経典の日本語訳は複数あり、『南伝大蔵経・経蔵・中部経典3』や、片山一良訳の『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）後分五十経篇I』、中村元監修の『原始仏典 中部経典3』などが挙げられます。

関連項目

この経典に関連するテーマとしては、四禅、四無色定、そして非想非非想処が存在します。これらは、精神的な探求や実践において非常に重要な概念です。

外部リンク

さらに詳しい情報は、Tipitaka.orgやThanissaro Bhikkhuによる英訳版「Aneñja-sappaya Sutta: Conducive to the Imperturbable」を参照してください。

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