不可思議 (数)

不可思議（ふかしぎ）とは

不可思議は漢字文化圏における特異な数の単位であり、特に仏教に由来しています。この単位は、具体的に示す数の大きさが時代や地域によって変化し、さらには人々の解釈にもばらつきがあります。一般的には1064を指すとされる一方で、1080と解釈する人も存在します。このように、不可思議という言葉は、その名の通り、思考や議論を超えるほどの巨大な数を表すものとして位置づけられています。

不可思議の起源と歴史

不可思議という単位は、元々朱世傑による『算学啓蒙』において極以上の他の数の単位とともに初めて紹介されました。この文献において、不可思議は仏教に関連する用語から派生したものとされています。当時の中国では、すでに中数（大きな数の単位）が使われており、不可思議は那由他（10^112）の万万倍である10^120として説明されました。

日本においては『塵劫記』の寛永4年（1627年）の初版において不可思議が初めて登場し、この版での解釈では那由他（10^39）の万万倍として計算され、10^47とされました。その後、寛永8年版では中数の万進へと改められ、不可思議は那由他（10^72）の万万倍で10^80とされました。さらに、寛永11年版で万進に統一され、不可思議は在由他（10^60）の万倍、すなわち10^64と認識されるようになりました。

しかし、今日でも寛永8年版を基に不可思議を10^80とする見解を持つ人々が存在するため、解釈は依然として多様です。

不可思議の位置づけ

不可思議という単位は、その前後に位置する数単位とともに数の順位を構成しています。具体的な数の対応関係は非常に多岐にわたり、たとえば以下のように整理されます：

• - 不可思議 = 10^64
• - ジョーカーを除いたトランプの全ての組み合わせの数は52!（52の階乗）として計算され、その結果は8065不可思議8175那由他1709阿僧祇4387恒河沙8571極6606載3685正6403澗7669溝7528穣9505𥝱4408垓8327京7824兆0000億0000万0000と示されます。

華厳経における不可思議

仏教の経典『華厳経』の中では、特に「六十華厳」の段において不可思議という数単位が用いられており、具体的な数値が示されています。具体的には、次のような計算式が紹介されています：

10^10 × 2^114 = 10^207691874341393105141219853168803840、おおよそ10^35として表されることが示されます。この際、六十華厳における「不可思議転」はこの不可思議の2乗となっています。

結論

不可思議という数の単位は、その背景には歴史的な経緯と文化的な重要性が隠れており、単なる数値を越えた深い意味を持っています。現代においてもその解釈は様々であり、数の捉え方の多様性を示す良い例と言えるでしょう。

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