不定期刑

不定期刑とは

不定期刑（ふていきけい）は、事前に刑期を定めることなく科される自由刑の一種です。自由刑は身体の拘束を通じて自由を奪う刑罰を指し、日本の現行刑法では懲役、禁錮、拘留が含まれます。不定期刑の対義語としては、あらかじめ刑期が決められる「有期刑」と、無期限に科せられる「無期刑」が存在します。

日本においては、主に少年犯罪に対して不定期刑が適用されます。この場合、判決文には「被告人を懲役10年以上15年以下に処する」といった形で、刑期の範囲が示されますが、具体的な期間は明示されません。

法的な区別

不定期刑は、刑期に関する定め方によって二つに分かれます。それは「相対的不定期刑」と「絶対的不定期刑」です。

相対的不定期刑

相対的不定期刑は、最短と最長の刑期が明示され、その範囲内でいつ刑が終了するかは決まっていない形態です。日本の少年法52条に規定されている刑罰が該当します。この方式では、審判の時点で評価された犯罪に対し、適した範囲の刑が科されるため、柔軟性があります。

絶対的不定期刑

絶対的不定期刑は、刑期が全く定められず、刑種のみが指定されるものです。これに該当する場合、その刑期は1日から終身にまで及ぶ可能性があります。しかし、絶対的不定期刑は法の適用があまりにも広範であることから、罪刑法定主義に抵触するという意見もあり、日本では採用されていません。

不定期刑の目的

不定期刑が注目されるようになった背景には、刑罰における教育的側面の重視があります。応報刑論から言えば、犯罪行為に対する報復として刑が課されるとされています。この考えに基づく場合、犯行時における評価がされ、その結果に基づいてより厳しい処分が決定されます。

しかし、近年では受刑者の再教育や更生、社会復帰を重視する考え方も広まりました。この立場からは、受刑中の改善状況を考慮し、改善が見られればその段階で刑を終えることも許容されるべきではないかという意見が出ています。この理由により、個々の犯罪者による改善の必要期間が異なるため、判決時点での刑期を決定しない不定期刑論が取り上げられるようになりました。

法体系による違い

法体系によるアプローチにも違いがあります。英米法系では自由刑が「相対的不定期刑」として示されることが多い一方で、大陸法系では「定期刑」が採用されることが一般的です。このような中で、定期刑体系においても「長期定期刑」や「無期刑」の運用が行われる際には、仮釈放の制度を通じて身体の拘束を解除し、社会復帰を促す仕組みも存在します。日本でもこの手法は採られています。この場合、定期刑は不定期刑の要素を持ち合わせることになります。

不定期刑は、法的な枠組みを超えた犯罪者の更生を促進する手段として、今後も注目されるテーマであると言えるでしょう。

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