星野源「不思議」:80'sサウンドと緻密なアレンジが織りなす、普遍的な愛の物語
星野源の楽曲「不思議」は、2021年
4月27日に配信限定
シングルとしてリリースされ、同年
6月23日には4曲入りCD
シングル『
不思議/創造|不思議_創造』に収録された作品です。TBS系火曜ドラマ『
着飾る恋には理由があって』の主題歌として書き下ろされ、大きな注目を集めました。
制作背景と星野源の創作プロセス
2021年3月、
星野源が『
着飾る恋には理由があって』の主題歌を担当することが発表されると、4月20日の初回放送で楽曲タイトルが「不思議」であることが明らかになり、放送終了後には配信リリースが発表されました。「創造」に続く楽曲として、
星野源の新たなステージを示す作品と位置づけられています。
「不思議」の制作は「創造」の完成後に開始されました。
星野源自身は、この楽曲について「自分にとっての愛や恋を歌にしようとした」と語っています。制作過程では、自身の「キュン」とする感情を追求するため、アニメ『中二病でも恋がしたい!』や『
たまこまーけっと』を繰り返し鑑賞し、制作のヒントを得たそうです。
共同アレンジャーには、「創造」に引き続きmabanuaが参加。2023年4月からは、キリンビール「淡麗グリーンラベル」のCMソングにも起用され、
星野源本人が出演するCMでは弾き語りバージョンが披露されています。
80'sサウンドと複雑なコード進行:予測不能な音楽性
「不思議」は、1980年代のポップミュージックを思わせるサウンドが特徴です。
ソウルミュージックのような、愛おしさや切なさを表現しており、
星野源は
久保田利伸の「Missing」や
ASKAの「
はじまりはいつも雨」といった80's楽曲をイメージソースとして挙げています。
楽曲にはDX7のシンセサウンド、TR-909のスネア、TR-808のクラップなどが意識的に使用されています。しかし、それ以上に特筆すべきは、先を予測できない複雑なコード展開です。この緻密でアバンギャルドな側面について、
星野源は自身の
作曲方法の変化を踏まえ、従来のバンドアンサンブルとは異なる音作りを目指したと説明しています。
音楽関係者からの高い評価
音楽プロデューサーの
松尾潔氏は、「
星野源スタイルのさらなる洗練と深化を色鮮やかに証明している」と高く評価。
音楽家の
丸谷マナブ氏は、「難解なコードでも無駄がない緻密なアレンジ」と楽曲のクオリティを称賛し、強い感銘を受けたことを語っています。
ロッキング・オンのライター・杉浦美恵氏は、この楽曲が「ポップミュージック、特に
J-POPが、パーソナルな愛し方を慈しむ時代へと進むことを示唆している」と分析しています。
ミュージックビデオとチャート成績
2021年5月30日に
YouTubeでプレミア公開されたミュージックビデオは、
新垣結衣との結婚報道があった時期と重なり大きな話題を集め、公開3日で200万再生を突破しました。
林響太朗が監督を務め、羽田空港で撮影された映像作品です。
2021年5月5日公開の
Billboard Japan Download Songsでは初登場1位を獲得。JAPAN HOT 100では2位にランクインしました。約1ヵ月半後の
シングル「
不思議/創造|不思議_創造」発売後には、JAPAN HOT 100で1位を獲得するなど、高い人気を証明しました。
受賞歴とクレジット
MTV Video Music Awards Japan 2021では最優秀邦楽ソロアーティストビデオ賞を受賞。
演奏者やスタッフ、そして使用機材など詳細なクレジット情報も公開されています。
まとめ
「不思議」は、
星野源の音楽性における新たな境地を示す、象徴的な楽曲と言えるでしょう。80'sサウンドを基調とした洗練されたサウンドと、複雑ながらも美しいコード進行、そして普遍的なテーマである愛の表現が見事に融合しています。音楽関係者やリスナーからの高い評価、そして商業的な成功も収めた「不思議」は、現代の
J-POPシーンにおいて重要な位置を占める作品です。