不正指令電磁的記録に関する罪

不正指令電磁的記録に関する罪について

概要

不正指令電磁的記録に関する罪とは、コンピュータ上で意図に反する動作を引き起こすような記録を不正に作成したり提供したりすることを規制する法律です。これは日本の刑法第168条の2および第168条の3に明記されており、2011年に新たに設立された犯罪類型です。特に、コンピュータウイルスやマルウェアの作成行為がこの罪に該当します。

背景

日本は2004年にサイバー犯罪条約に加盟する必要が生じ、そのために国内法の整備を進めました。しかし、同年に提出された改正案には共謀罪に関する法改正も含まれており、処罰範囲の不明瞭さから広範な懸念が生じました。そのため、改正案は長期間の継続審議に入ることとなりましたが、2011年の通常国会では共謀罪の条項を削除した形で改正案が再提出され、成立、施行された結果、現在のような規定が整いました。

不正指令電磁的記録の作成

この罪は、正当な理由なく、他人のコンピュータに対して、意図されたとおりの動作を妨げたり、反対の動作を強いるような指令を与える電磁的記録を作成または提供した場合に適用されます。この行為に対しては、最長3年の懲役または最大50万円の罰金が科せられます。具体的には以下の2つのタイプの記録が含まれます。
1. 利用者が望む動作以外を引き起こす不正な指令を与える電磁的記録
2. 上記の不正指令を詳述した他の記録

このような行為を行うことは、一般的にコンピュータウイルスの作成に類似しているため、「ウイルス作成罪」とも呼ばれています。この場合、「反意図性」は、一般の利用者が期待する動作と実際の動作が異なる状況で認識されます。また、「不正性」は電子計算機における情報処理に対する社会の信頼を維持し、その機能を保護する観点から判断されます。

不正指令電磁的記録の取得

法律第168条の3に基づき、他人のコンピュータに対して不正な指令を与える記録を正当な理由なく取得または保管した場合、最長2年の懲役または最大30万円の罰金が科せられます。

未遂について

この法律には未遂も含まれており、特に供用罪に関しては、犯罪の試み自体が処罰の対象とされています。

結論

不正指令電磁的記録に関連する罪は、サイバー犯罪の取り締まりに重要な役割を果たしています。コンピュータの安全性とユーザーの信頼を守るために、これらの法律が必要とされています。コンピュータウイルスやマルウェアの危険性を考えると、法律の存在がいかに重要であるかが理解されるでしょう。

もう一度検索