不滅の宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ

不滅の宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ：ディスコ旋風とヤマトの融合

1978年、日本のアニメ史に新たな一ページが刻まれました。それは、人気アニメ『宇宙戦艦ヤマト』シリーズを題材とした、異色の企画アルバム『不滅の宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ』の登場です。同アルバムは『宇宙戦艦ヤマト』と『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の楽曲、そして『宇宙戦艦ヤマト2』のサウンドトラックを収録した、まさにヤマトシリーズの楽曲をディスコサウンドで再構築した作品でした。

当時、ポリドール（現ユニバーサルミュージック）からリリースされたこのアルバムは、ヤマトシリーズのレコードの大半を手がけていた日本コロムビアとは異なるレーベルからのリリースという点で異例でした。それまでのヤマト関連レコードは、主に日本コロムビアから発売されていましたが、インストゥルメンタルアルバムが他社からリリースされるのは、このアルバムが初めてだったのです。

しかし、単なる外部制作のアルバムではありませんでした。アルバムの帯には、アニメーション制作プロデューサーである西崎義展氏の写真とともに「西崎義展プロデュース！」の文字が躍り、作曲・編曲・指揮は、ヤマトシリーズの音楽を彩った宮川泰氏が担当しています。さらに、先着10万名には『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の劇場用フィルムコマを使用したしおりがプレゼントされるという、豪華な特典も用意されていました。

アルバムに収録された楽曲は、『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』や『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集』からの選曲に加え、TV版第1作のオープニングとエンディングテーマが、ディスコ調にアレンジされたものでした。演奏は、アルバムのために特別編成された「ヤマト・ディスコティック・オーケストラ」が担当し、そのサウンドは、当時世界中で流行していたディスコブームを反映した、斬新かつキャッチーなものとなっています。

1977年の映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の大ヒットは、日本でもディスコブームを巻き起こし、「フィーバー」という言葉は流行語となりました。多くのアーティストがアメリカのディスコ曲をカバーしたり、既存曲をディスコ風にアレンジしたりする中、宮川泰氏もこのブームに乗って、ヤマトの楽曲をディスコサウンドで蘇らせるという挑戦に乗り出したのです。

しかし、宮川泰氏は付属パンフレットに掲載されたメッセージの中で、短音階が多いヤマトの楽曲をディスコ風にアレンジすることの難しさを明かしています。「真赤なスカーフ」「テレサのためいき」「好敵手」「デスラーのテーマ」などは特に苦労した曲として挙げられており、「雪の最期」に至っては、あえてディスコアレンジを施さなかったと語っています。

このアルバムは、その後CD化されず、長らく幻の作品としてファンの間で語り継がれてきました。しかし、2012年、待望のCD化が『YAMATO SOUND ALMANAC』シリーズの一環として実現。Blu-spec CD仕様でリリースされ、ついに多くのファンが、この歴史的なアルバムをデジタル音源で楽しむことができるようになりました。

『不滅の宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ』は、時代を反映した音楽性と、ヤマトシリーズへの深い愛情が感じられる、貴重な一枚です。ディスコブームとヤマトという、一見すると対照的な要素が融合したこのアルバムは、音楽史における興味深い試みとして、これからも語り継がれていくことでしょう。

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