YAMATO SOUND ALMANAC

YAMATO SOUND ALMANAC：宇宙戦艦ヤマトの音楽を網羅する壮大なプロジェクト

「YAMATO SOUND ALMANAC」は、1974年のテレビ版第1作から1983年の劇場版『宇宙戦艦ヤマト 完結編』までの、宇宙戦艦ヤマトシリーズの劇伴音楽を網羅したCDシリーズです。日本コロムビアより2012年7月から2014年3月にかけて、全30タイトルが隔月で発売されました。さらに、2015年には未収録音源を収めた補完盤もリリースされています。

シリーズ誕生の背景：複雑な歴史と権利関係

ヤマトシリーズの音楽は、プロデューサー西崎義展氏のこだわりから、制作段階で「鑑賞用音楽」と「劇伴音楽」を明確に区別し、可能な限り多くの楽曲を録音するという独特な手法がとられていました。この手法は、シリーズの音楽性を高めることに貢献した反面、商品化においては複雑な状況を生み出しました。

レコード時代には、楽曲数の多さ、複数レコード会社からの発売、西崎氏個人が持つ原盤権など、様々な要因が重なり、商品化が滞る、もしくは混乱を招く状況がありました。特に『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』や『完結編』では、膨大な楽曲が制作され、全てを商品化するには至りませんでした。

CD時代に移行後も、「オリジナルBGMコレクション」や「ETERNAL EDITION」といったシリーズが展開されましたが、それぞれにコンセプトの違いがあり、楽曲の網羅には至らず、重複する楽曲も多く存在していました。

YAMATO SOUND ALMANAC：集大成としての意義

「YAMATO SOUND ALMANAC」は、これまでのシリーズの問題点を克服するために企画されました。オリジナルBGMコレクションの「音楽優先」、ETERNAL EDITIONの「作品優先」という従来のコンセプトに加え、「録音年度優先」という新たな視点を取り入れることで、ヤマト音楽の歴史を年代順に辿る構成となっています。

このシリーズの大きな特徴は、以下の3点です。

1. 未CD化アルバムのCD化: 過去にCD化されなかったアルバムが多数収録されています。
2. 廃盤音楽集の復刻: 過去に発売され、現在は入手困難となっているCDの復刻が実現しました。
3. 本編BGMの完全収録: アニメ本編で使用されたBGMをほぼ網羅しています。

2009年の『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』制作時に、ほぼ全てのマスターテープの発掘に成功したことが、このシリーズの完成に大きく貢献しました。日本コロムビアだけでなく、他社発売のアルバムも復刻されており、ボーカル曲を例外とすれば、ほぼ全ての楽曲が収録されていると言えるでしょう。

シリーズの構成とラインナップ

「YAMATO SOUND ALMANAC」は、「音楽集」と「BGM集」に大別され、各作品ごとに発売されました。BGM集は、使用順に楽曲が収録され、作品を振り返るのに最適な構成となっています。さらに、未使用曲や続編で使用された楽曲がボーナストラックとして収録されているのも特徴です。

全30タイトルは、4期に分けて発売され、一部は2枚組となっています。それぞれのCDには、オリジナル盤のインデックス対応トラックが全て単独トラックとして収録されるなど、細やかな配慮もなされています。

シリーズのその後と影響

「YAMATO SOUND ALMANAC」シリーズは、宇宙戦艦ヤマトの音楽史を体系的にまとめた、ファンにとって貴重な作品となりました。その後も、このシリーズの音源を基にしたハイレゾ音源配信も開始されており、ヤマトシリーズの音楽を様々な形で楽しむことができるようになっています。このプロジェクトは、複雑な権利関係や歴史的経緯を乗り越え、作品への深い愛情と綿密な作業によって完成した、まさに集大成と言えるでしょう。

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