不発弾 (小説)

不発弾

『不発弾』は相場英雄による経済サスペンス小説で、2016年に新潮社の『小説新潮』で連載され、2017年に単行本として、2018年に新潮文庫版が登場しました。物語は、ある大手企業の粉飾決算を巡る権力の闘争を中心に展開し、警視庁捜査二課の捜査官と裏でその事件を操る金融コンサルタントとの対決を描いています。

あらすじ

物語は、三田電機産業という大手電機メーカーの1500億円に及ぶ不適切会計が明るみに出た際に始まります。記者会見で狼狽する社長を陰で操るのは金融コンサルタントの古賀遼。彼はその正体を隠しながら、会計の不正を維持しようとするが、警視庁の小堀秀明はこの事態を粉飾決算と見抜き、その背後に古賀の存在を疑います。

捜査を進める中で、小堀は、古賀の過去とも関連する衝撃的な秘密を知ることになります。古賀は福岡県の貧しい炭鉱町で生まれ育ち、幼少期に父を炭坑の事故で失っている過去があります。母親の古賀良美は、自身のスナックの常連客と関係を持ち、妹の睦美も同じ道を辿らせるつもりでいました。良樹である古賀は妹を守るため、上京して国民証券の場立ち員となります。その後、証券業界で成長していくものの、やがて妹を東京に呼ぶ直前に不幸が襲います。

この出来事を受けて、彼は復讐を誓い、法人営業部に異動。その後フリーの金融コンサルタントとして新たな一歩を踏み出し、「古賀遼」という名前に変更します。そして、彼が仕掛けた「不発弾」が次第に姿を現すことになるのです。

登場人物

• - 古賀遼（良樹）: 55歳の金融コンサルタント。本名は古賀良樹で、陰で大手企業の粉飾決算を操る重要人物。
• - 小堀秀明: 警視庁捜査二課の捜査官で、刑事として真相を追求する。彼の調査で古賀の存在が明らかになる。
• - その他のキャラクター: 古賀の内縁の妻や、彼の過去に深く関わる人々が物語に絡みます。

テレビドラマ化

物語は2018年にWOWOWで『不発弾 〜ブラックマネーを操る男〜』としてドラマ化され、全6話のシリーズが放送されました。主演を務めた椎名桔平が演じる古賀遼のキャラクターは、複雑な心情と周囲との葛藤を巧みに表現しています。

この作品は、金融や経済の闇を巡るリアルでスリリングなストーリー展開により、多くの読者や視聴者を魅了しました。持つ者と持たざる者の対立を描きつつ、自己の正義を貫こうとする主人公の姿が、多くの共感を呼ぶ要素となっています。

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