不知火諾右衛門

不知火 諾右衛門の生涯と相撲キャリア

不知火 諾右衛門（しらぬい だくえもん）は、1801年に肥後国宇土郡で生まれた元大相撲力士であり、第8代横綱として名を馳せました。本名は近久 信次（ちかひさ しんじ）であり、不知火は彼の名跡の一つです。彼は歴代の横綱の中でも唯一、番付が下がるという厳しい経験をしながらも、その後の復活を遂げました。

幼少期と初期のキャリア

彼は幼い頃から平穏に過ごしていましたが、ある事件がきっかけで人生が大きく変わります。残された家族と離れ、大坂・堺に移住し、1822年には大坂相撲に加入し、大関まで昇進します。この頃、彼は周囲の競争の中で力士として成長していきました。

江戸相撲への転身

1830年、彼は江戸相撲・浦風門下に移ります。ここで彼は新たなスタートを切り、「黒雲 龍之介」と名乗り、さらに「濃錦里 諾右衛門」と改名します。1837年には新入幕を果たし、徐々に番付を上げていきます。1839年3月場所にはついに大関に昇進し、その後は「不知火 諾右衛門」と改名しました。

当時の江戸相撲界は、幕藩体制の崩壊が進む中、力士たちの奮闘が必要とされた状況でした。彼が横綱免許を授与されたのは1840年11月のことでした。このころにはすでに彼は40歳に近い齢であり、その位置を保つためには大きな努力が求められました。

不知火の栄光と苦悩

ところが、1841年に発表された番付には彼の名前が見当たらず、同年11月の場所では三役格に登場したものの全休という結果に終わります。この時期には江戸相撲との間に何か対立があったのではないかとの噂もありましたが、詳細は不明です。その後、1842年には関脇に降格するも、その後6勝を挙げ、再び大関に復帰します。

1844年1月場所を持って彼は現役を引退し、古巣の大坂相撲へ戻り、年寄・湊を襲名しました。その後は大坂相撲の頭取として活躍し、相撲界に貢献しました。彼は1854年8月20日に53歳で亡くなります。

不知火型土俵入りの由来

彼の名は「不知火型」として知られる土俵入りの名に影響を与えていますが、実際の名称は彼自身ではなく、弟子である第11代横綱・不知火光右衛門から付けられました。近年、彼がその創始者であると主張する地域も存在します。また、彼の立ち姿を描いた錦絵が存在し、現代の土俵入りにも影響を与えていると考えられています。

主な成績と成果

不知火 諾右衛門の通算幕内成績は48勝15敗3分2預1無65休であり、江戸相撲の中で唯一の横綱として、彼の地位は非常に特異なものでした。また、優勝相当成績は1回と記録されています。彼の生涯と相撲界への影響は、現在でも語り継がれています。歴史に名を刻んだ力士として、彼の業績は後世にわたりその記憶をとどめています。

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