不知火光右衛門

不知火光右衛門の生涯と業績

不知火光右衛門（しらぬい みつえもん）は、1825年4月20日に肥後国菊池郡陣内村（現在の熊本県菊池郡大津町）で生まれました。彼の本名は近久（ちかひさ）で、旧姓は原野です。光右衛門は、1841年に祖父の原野儀右衛門が大関を務めていた土地相撲に加入してから、相撲の道を歩みました。この時期に彼は、同郷の不知火諾右衛門の弟子となり、大坂の湊部屋で修業を重ねました。

彼はその後、境川部屋に所属し、1850年11月場所に四股名「殿 峯五郎」として初土俵を踏みました。その後、熊本藩の抱え力士として活動し、1856年11月場所で新入幕を果たします。翌年には「不知火光右衛門」という名に改名し、相撲界での地位を確立していきました。

1862年3月場所では見事に大関に昇進するも、当時に起こった「小柳殺し」事件により、出場を辞退せざるを得ませんでした。しかし、1863年3月には吉田司家から横綱の免許を受け、その名声はさらに高まりました。特に1866年の4月場所では、足取り名人の両國梶之助に勝利した際、その業績は「足を取る相撲上手である両國も足を取られてすってんころりん」と称され、彼の強さが広く伝わることとなります。

その後、光右衛門は1869年11月場所を最後に現役を引退し、古巣の大阪相撲に戻ります。引退後は「諾右衛門」と名乗り、1870年から3年間、横綱土俵入りのみを披露しました。その土俵入りは、まるで「白鶴の翼を張れる如し」と称されるほど美しいもので、相撲界の一つの伝説となりました。また、年寄としての役目を果たし、初代・不知火を襲名します。

不知火光右衛門は1879年2月24日に53歳でその生涯を閉じました。このように彼は、幕末から明治にかけて活躍した相撲界の重要な人物でしたが、同じ「不知火」の名を持つ他の力士と混同されることも多く、その存在は相撲史において特異な位置にあります。

エピソードと主な成績

不知火光右衛門が活躍していた時期には、江戸時代末期に複数の「不知火」という名の力士が存在しました。彼は第11代の横綱として知られていますが、肥後国出身の第8代横綱・不知火諾右衛門や、筑前国からの光五郎と混同されることがあるため、それぞれの業績を明確に理解することが重要です。

横綱土俵入りのスタイルに関しては、雲龍型の考案者とされています。この名前の由来については諸説ありますが、実際に不知火光右衛門と第10代横綱・雲龍久吉の土俵入りが非常に素晴らしかったため、後世にはその名が残ったと言われています。彼はまた、同期の第12代横綱・陣幕久五郎との対戦において13敗2分の成績を残し、非常に厳しい戦いを強いられました。

主な成績

光右衛門の通算幕内成績は119勝35敗15分、勝率は.773と非常に優れています。幕内在位は27場所に渡り、優勝に相当する成績を3回収めています。彼の業績は、彼が相撲界に与えた影響と合わせて後世に語り継がれているのです。相撲の伝統と技を受け継ぐ存在として、今でもその名は相撲ファンの記憶に残っています。

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