与祢

与祢（よね）は、天正8年（1580年）に山内一豊と正室・見性院の間に生まれた、唯一の実子です。彼女は「與禰姫」とも記されています。

天正13年（1585年）、父・一豊が近江国長浜城の城主となると、与祢も長浜に移り住むことになります。しかし、そのわずか1年後の天正13年11月29日（1586年1月18日）、長浜を大地震（天正地震）が襲いました。

この地震により長浜城は全壊し、与祢は乳母とともに命を落としました。当時、彼女はわずか6歳でした。この悲劇的な出来事は、『一豊公紀』に「十一月二十九日　於江州長浜宇内、大地震。山川転動裂壊家屋、顛潰長濱之御城殿崩、與禰姫様喪亡、御歳六歳。号光景妙円是。見性院様御腹子也。此時、御家人乾彦作和信始数拾人死」と記録されています。

与祢の死後、夫婦は子宝に恵まれず、山内家は一豊の弟・康豊の子である忠義が後を継ぐことになります。与祢の諡号は光景妙円とされ、彼女の墓は京都の妙心寺大道院にあります。

与祢は短い生涯でしたが、その存在は後世にも語り継がれています。彼女を演じた俳優として、以下のような人々がいます。

『旦那さま大事』（1986年、TBS） - 柿沼奈々子
『司馬遼太郎の功名が辻』（1997年、ANB） - 大山静香
* 『功名が辻』（2006年、NHK大河ドラマ） - 森迫永依（幼少期：皆川陽菜乃）

彼女の死は、天正地震という未曽有の災害の悲劇を象徴する出来事の一つとして、歴史に刻まれています。山内家にとっても、与祢の死は大きな痛手であり、その後の家督相続にも影響を与えたと考えられます。

与祢の生涯は短く、資料も多くは残っていませんが、彼女の存在は、当時の人々の生活や、自然災害の脅威を今に伝える貴重な手がかりとなっています。

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