世宗 (遼)

世宗（遼）

世宗（せいそう、919年 - 951年）は、遼の第3代皇帝であり、名は兀欲（こつよく）です。太祖耶律阿保機の嫡孫として生まれ、激動の時代を生き抜きました。

生涯

出生から即位まで

世宗は、李従珂によって殺害された東丹国王耶律突欲（後の義宗と追諡）の長男として生まれました。会同9年（946年）には、叔父である第2代皇帝太宗に従い、後晋攻略に参加し、その戦功によって永康王に封じられました。後晋滅亡後も混乱が続く中、太宗が崩御すると、世宗は軍を率いて南京（現在の北京）を陥落させ、将軍たちに擁立されて皇帝を目指し、首都である上京（現在のバイリン左旗）へと向かいました。

しかし、上京では太祖の后であった述律太后が、太宗の弟である李胡を擁立しようと画策しており、世宗の即位に強く反対しました。両者の軍は潢河で激突しましたが、この戦いで太后側が敗北し、最終的に太后は世宗の即位を承認せざるを得ませんでした。

治世と改革

国内の反対勢力を抑え込み皇帝に即位した世宗は、大同元年を天禄元年に改元し、耶律屋質を重用して政府内の改革を積極的に推し進めました。太宗の時代に設けられた南面官と北面官を合併させ、南北枢密院を成立させました。南王及び北王を廃止し、枢密院にその機能を統合しました。これらの改革によって、遼は部族連合的な体制から中央集権体制へと大きく転換し、その後の遼の発展の礎を築き上げました。

晩年と最期

しかし、世宗は晩年になると酒色に溺れ、狩猟に耽るなど政治を顧みなくなり、奸臣を重用するなど政治は次第に乱れていきました。天禄5年（951年）、北漢を支援して後周を攻撃した帰途、祥古山（現在のフフホト）において、太祖の弟である安端の子、察割によって暗殺されました。

宗室

后妃

甄皇后
懐節蕭皇后

子

耶律吼阿不（早世）
耶律明扆（景宗）
耶律只没（寧王）

女

耶律和古典（秦国長公主、蕭啜里の妻）
耶律観音（晋国長公主、蕭夏剌の妻）
耶律撒剌（蕭斡里の妻）

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