東丹国

東丹国の概要

東丹（とうたん）とは、926年から936年まで存在した契丹の封国であり、その設立は渤海を滅ぼした契丹によるものです。国名の「東丹」は、契丹の東部を指すという説がかつては有力でしたが、最近の研究でキタイ語では「ダン・グル（Dan guru）」と呼ばれていたことが明らかになりました。これは渤海国の名称と同じであり、古い漢文では「契丹」を単に「丹」と略す用法は存在しないため、「東の契丹国」という意味ではないことが確認されています。

機関と歴史

契丹の皇帝、耶律阿保機は中原への侵略を進める中、後方に憂いを持ち、930年に渤海への軍事遠征を決定しました。925年、渤海の混乱した国内状況を利用し、彼自身が指揮をとって兵を率いて攻撃を開始。926年に渤海の首都・忽汗城を陥落させ、最後の渤海王である大諲譔を捕らえることに成功しました。

統治のため、阿保機は忽汗城を天福城に改名し長子の耶律倍を国王として東丹を設立しました。倍は人皇王と呼ばれ、契丹の重臣たちが彼を支えましたが、太祖の急死により、倍は本国へ引き上げることになりました。この時、契丹皇帝位は次男の耶律堯骨によって継承されました。

皇族の緊張関係

皇太子であった倍は、兄としての地位に恨みを抱くようになり、堯骨も兄の反乱を警戒しました。927年、堯骨は契丹の首都を発展させる計画を進め、東丹の都を遼陽に移すよう倍に命じました。その後、ゆっくりと東丹の実権は契丹に吸収されていきました。

逃亡を決意した倍は930年に開封へと移動しますが、このことが東丹の滅亡につながったと考えられています。にもかかわらず、1990年代に耶律羽之の墓誌などの発見により、東丹の官制が続いていたことが明らかになりました。936年、契丹皇帝は国名を遼に変更し、東丹は次第に縮小しながらも存続が確認されます。

経済と貿易

東丹国の民は、特に渤海人が大多数を占め、彼らは豊富な航海経験を持っています。彼らの商船は遠くまで行き渡り、様々な交易を行い、契丹と隣国との貿易において重要な役割を担っていました。当時の使節が東丹国を通じて日本に商業の使者を派遣する等、国際的な交流の一端を果たしていたことも注目されています。

日本との関係

929年12月、日本の『日本紀略』に登場する東丹の使節は、京都府京丹後市の大津浜に到着しました。この使者である裴璆は、渤海の後継国としての意向を伝え、国名変更の理由や新王の悪政について述べました。しかし、彼の発言は朝廷にとって不快だったため、入京を拒否されます。これにより、東丹国は日本との通交を維持する意思を持っていたことがわかります。

まとめ

東丹国は契丹の影響下で成立し、その存在期間は短命でしたが、国際的な交流や貿易を行うなど、当時の東アジアの中で重要な役割を果たしました。その後の歴史においても、多様な文化や経済活動の土台を築くこととなったのです。

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