世界が変わる日

「世界が変わる日」：歴史の転換点に挑むドクター・フー

イギリスのSFドラマ『ドクター・フー』第11シリーズ第3話、「世界が変わる日」（原題：Rosa）は、1955年のアメリカ合衆国アラバマ州を舞台に、歴史の転換点をめぐるスリリングな物語を描いています。脚本はマロリー・ブラックマンとクリス・チブナル、監督はマーク・トンデライが務め、2018年10月21日にBBC Oneで初放送されました。

物語：公民権運動と時空犯罪

13代目ドクター（ジョディ・ウィテカー）と仲間たちは、時空犯罪者クラスコ（ジョシュ・ボウマン）の陰謀に遭遇します。クラスコは、ローザ・パークス（ヴィネット・ロビンソン）によるバスボイコットという歴史的事件を妨害し、アフリカ系アメリカ人公民権運動の歴史を書き換えようとしていたのです。ドクターたちは、歴史の改変を阻止するため、クラスコと対決します。このエピソードは、公民権運動という重要な歴史的出来事を背景に、タイムトラベルというSF要素を巧みに融合させています。歴史の重みと、それを守るためのドクターたちの奮闘が、視聴者に強い印象を与えます。

過去の伏線と新たな視点

このエピソードでは、過去のシリーズで登場したストームケージ刑務所や、リヴァー・ソングというキャラクターへの言及も含まれています。シリーズ全体を通して積み重ねられてきた物語の深みと連続性が感じられます。また、脚本家マロリー・ブラックマンは、このエピソードで『ドクター・フー』史上初めてエピソードを執筆したアフリカ系の脚本家となりました。この事実は、作品に新たな視点と多様性をもたらしていると言えるでしょう。南アフリカのケープタウンでの撮影も、作品に独特の雰囲気を与えています。

キャストと制作

主要キャストに加え、ヴィネット・ロビンソンとジョシュ・ボウマンといった実力派俳優がゲスト出演しています。ヴィネット・ロビンソンは、以前にもクリス・チブナルが脚本を手掛けた『ドクター・フー』第3シリーズに出演経験があり、本作でも素晴らしい演技を見せています。さらに、エンディングにはアンドラ・デイのシングル「Rise Up」が使用されており、伝統的なテーマ曲が使用されない数少ないエピソードの一つとなっています。この楽曲の力強いメロディーは、エピソードのテーマをさらに強調しています。

受賞と評価

「世界が変わる日」は、イギリスでの視聴者数は841万人を記録し、高い評価を得ました。また、アメリカ合衆国でも80万8000人の視聴者数を獲得しました。さらに、2019年には英国アカデミー賞のビジョナリーアーツオーガニゼーション賞テレビ番組部門を受賞、ヒューゴー賞映像部門短編部門にもノミネートされるなど、その高いクオリティが広く認められました。

まとめ

「世界が変わる日」は、歴史的出来事とSFの融合、そして力強いメッセージ性が魅力的な『ドクター・フー』の一編です。歴史の重要性、人権、そして希望といったテーマを、スリリングな展開と感動的な演出で描き出しています。高い評価を受けているのも納得の、見応えのあるエピソードと言えるでしょう。

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