世界ポピュラー大全集Vol.7: ウエスタン音楽

『世界ポピュラー大全集Vol.7: ウエスタン音楽』

1963年4月、日本ビクターより発表されたオムニバス・アルバム『世界ポピュラー大全集Vol.7: ウエスタン音楽』は、当時の日本のカントリー音楽シーンを代表する三組の実力派グループが集結した貴重な作品です。本作は、タイトルの通り、世界的なポピュラー音楽を紹介するシリーズの一環として制作され、特にアメリカ南部を発祥とするウエスタン音楽、すなわちカントリー・ミュージックに焦点を当てています。

参加したのは、寺本圭一とカントリー・ジェントルメン、斉藤任弘とロンスター・ファイブ、原田実とワゴン・エースといった、いずれもこのジャンルを牽引していたバンドです。彼らが持ち寄った演奏を通して、当時の日本のリスナーは本場アメリカのカントリー音楽の魅力に触れることができました。

収録曲

アルバムには、Side 1とSide 2合わせて計14曲が収録されています。スタンダードとして知られる名曲が並び、各グループの個性を楽しむことができます。

Side 1

ユー・オール・カム
北風
愛さずにはいられない
ジャンバラヤ
いとしのクレメンタイン
レッド・リヴァー・ヴァレー
トム・ドゥーリー

Side 2

ケンタッキーの青い月
サン・アントニオ・ローズ
新聞売りのジミー少年
オレンジ・ブロッサム・スペシャル
ユア・チーティン・ハート
カウ・ライジャ
ユー・アー・マイ・サンシャイン

参加グループとパーソネル

このアルバムのために、各グループは1962年12月の数日間にわたり録音を行いました。それぞれの演奏を担当したグループと参加メンバーは以下の通りです。

寺本圭一とカントリー・ジェントルメン

寺本圭一とカントリー・ジェントルメンは、Side 1のトラック1から4、そしてSide 2のトラック5から7の計7曲を担当しました。これらの楽曲は1962年12月19日から20日にかけて録音されました。参加メンバーは以下の通りです。

寺本圭一: 歌、ギター
東条英基: 歌、ギター
木村皓昭: フィドル、ピアノ
藤井三雄: スチール・ギター
鈴木邦夫: エレキ・ギター
小野光郎: ベース
若林正彦: ドラムス

このグループは、当時の日本のカントリー音楽シーンにおける第一人者である寺本圭一氏を中心に結成されており、その安定した演奏力と歌唱力で多くのファンを魅了しました。

斉藤任弘とロンスター・ファイブ

斉藤任弘とロンスター・ファイブは、Side 1のトラック5から7の3曲を担当しました。録音は寺本圭一グループと同じく、1962年12月20日に行われました。メンバー構成は以下のようになっています。

斉藤任弘: 歌、ギター
山田幸保: スチール・ギター
瀬谷福太郎: エレキ・ギター
波里正典: ベース
入江実: ドラムス

ロンスター・ファイブは、斉藤任弘氏の伸びやかな歌声とギター演奏を中心に、コンパクトながらもカントリー音楽の魅力を伝える演奏を展開しました。

原田実とワゴン・エース

原田実とワゴン・エースは、Side 2のトラック1から4の4曲を演奏しました。彼らの録音は、三組の中で最も早く、1962年12月18日に行われています。このグループのメンバーは多彩な楽器編成が特徴です。

原田実: スチール・ギター、五弦バンジョー、ハーモニカ
藤本精一: フィドル
岸澄夫: エレキ・ギター
神沢輝夫: 電気ベース
東角俊夫: ドラムス
さわたり順: 歌、ギター
* 田中勲: 歌、ギター

原田実氏は、スチール・ギターに加えてバンジョーやハーモニカも担当しており、グループのサウンドに多様性をもたらしています。複数のボーカルとギター奏者が在籍している点も特色と言えるでしょう。ワゴン・エースによる演奏は、カントリー音楽の持つ叙情性や力強さを表現しています。

まとめ

『世界ポピュラー大全集Vol.7: ウエスタン音楽』は、1960年代初頭の日本のカントリー音楽シーンの一端を伝える貴重な記録です。寺本圭一、斉藤任弘、原田実という三人のリーダーが率いるグループの演奏を通して、当時の日本のミュージシャンたちがどのようにカントリー音楽に取り組み、表現していたのかを知ることができます。収録されたスタンダード曲の数々は、時を経ても色褪せない魅力を放っています。このアルバムは、当時のカントリー音楽ファンにとってはもちろんのこと、日本のポピュラー音楽史に関心を持つ人々にとっても、重要な資料となる一枚です。

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