世界の制服に秘められた物語:NHK Eテレ『世界制服』
2017年と
2018年にNHK Eテレで放送された
教養番組『世界制服』は、当時
乃木坂46のメンバーだった
西野七瀬さんがMCを務めたユニークな番組でした。西野さんは番組内では「ワン様」と呼ばれ、大きな犬の耳の付いた愛らしい衣装で登場、視聴者を魅了しました。
この番組の最大の特徴は、制服を単なる衣服としてではなく、「美と知が込められた文化財」として捉え、その背景にある歴史や文化、人々の思いを深く掘り下げている点です。華やかな衣装やデザインだけでなく、制服を通して、着用する人が所属する組織の価値観や歴史、そして人々の生き様を映し出しているのです。
番組では、世界各地の様々な制服が紹介されました。例えば、第1シリーズでは、空の制服として客室乗務員の制服にスポットを当て、フランスやシンガポールの航空会社の制服を比較することで、それぞれの国の文化や航空会社の理念を浮き彫りにしています。また、学校の制服では、オーストラリアの生徒を特別扱いする制服や、宗教的な背景を持つアジアの制服、そしてフランスの超エリート校の制服など、多様な制服を通して教育制度や社会構造の違いを考察していました。
第2シリーズでは、ホテルや鉄道の制服が登場します。パリの「オテル・ド・クリヨン」やロンドンの「ザ・リッツ」といった一流ホテルの制服は、その歴史や職人の技、そしてホテルが目指すサービスの質を象徴しています。また、イギリスの保存鉄道で働くボランティアの制服からは、鉄道の歴史とそれを守り継ぐ人々の誇り高い思いが伝わってきます。日本の女性運転士への密着取材では、制服にまつわるエピソードを通して、日本の鉄道の歴史や女性活躍の現状を垣間見ることができました。
各エピソードでは、制服にまつわる興味深い事実や、そこに携わる人々のインタビューを通して、それぞれの制服に込められた意味やストーリーを丁寧に解説しています。単に制服のデザインを紹介するだけでなく、歴史的背景や社会情勢、そして人々の生活との関わりを深く掘り下げることで、視聴者に新たな視点と知見を与えてくれる番組でした。
出演者も番組のクオリティを高めています。
西野七瀬さんの軽妙な語り口と、専門家や関係者の証言が、番組全体をより魅力的なものとしていました。制服という身近な存在を通して、世界各地の文化や歴史、人々の生き様を垣間見ることができる『世界制服』。一度視聴すると、身の回りの制服に対する見方が変わる、そんな番組と言えるでしょう。
番組は、単なる制服の紹介にとどまらず、それぞれの制服が持つ文化的背景や歴史的意義、そして人々の生活との関わりを深く掘り下げており、視聴者にとって大変興味深い内容となっています。世界各国の制服を通して、多様な文化や社会構造を理解し、新たな視点を得ることができるでしょう。また、番組を通して、制服という身近な存在への関心を高め、その奥深さを知ることができる機会となりました。