世界美術大全集西洋編

『世界美術大全集　西洋編』

概要

『世界美術大全集　西洋編』は、1992年から1997年にかけて小学館より出版された美術全集であり、西洋美術の豊かな歴史を網羅しています。この全集は全28巻と別巻1から成り、さまざまな時代と地域の美術遺産を体系的に集約することを目的としていました。このプロジェクトは、小学館の創立70周年を記念して企画されました。

日本における網羅的な美術全集は1971年の『大系世界の美術』以来、ほとんど刊行されていなかった時期に、新たに出現した作品です。90年代に入ると、『現代世界美術全集』や『岩波　世界の巨匠』など、他出版社からも類似の美術全集が次々に発表されていましたが、この『世界美術大全集　西洋編』は一際その傑出した内容と図版の質の高さで評価されています。

この全集では、先史時代から現代にかけての美術を時代別に整理し、1万4000点以上の図版が掲載されています。特に初めに出版された第11巻『イタリア・ルネサンス（1）』では、227点のカラー写真と239点のモノクロ画像が紹介されており、全体の約70%が新たに撮影されたものです。これにより、新しい視点からの美術の理解を促進しています。さらに、この全集には最新の研究成果が反映されており、例えばマザッチョの壁画《楽園追放》が1990年に行われた修復後の色彩を示す図版も含まれています。こうした作品は日本においてこの全集が初めて紹介したものも多く、注目の内容となっています。

構成

各巻は、総論または序論から始まり、テーマごとの解説が続く構成となっています。図版は大判のカラー図版と、解説に挿入されるモノクロ図版があります。大判のカラー図版については、巻末に個々の作品解説があり（1ページあたり3作品程度）、視覚的にも楽しめる内容になっています。また、巻末には関連する地図や歴史年表、参考文献が付されています。刊行時には各巻に月報が同封されていました。

全集の別巻には、全巻の総索引が収録され、作家名や品名が五十音順に整列されています。さらに、「巻立・章立年表」や資料索引、地図索引、著書索引も含まれており、利用者が必要な情報に容易にアクセスできるよう配慮されています。

東洋編

また、同様の形式で『世界美術大全集　東洋編』が刊行され、全17巻と別巻1から構成され、約7000点の図版が収められています。東洋編も同様に広範な美術を扱い、各時代・地域の美術の多様性を紹介しています。

編集委員

この全集の編集に関わったのは、多くの著名な美術史家や教授たちであり、彼らの専門的な知見が各巻に反映されています。東京大学の青柳正規教授や、東京[[芸術大学]]の佐々木英也教授、成城大学の千足伸行教授など、多岐にわたる専門家が籍を置いています。

まとめ

『世界美術大全集　西洋編』は、その豊富な図版と詳細な解説によって、ただの画集にとどまらず、西洋美術の変遷とその背景を学ぶための貴重な資料となっています。多様な美術表現を通じて、読む人々に西洋の美術の理解を深める機会を提供するこの全集は、今なお多くの人々に愛され、活用されています。

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