佐々木英也

佐々木英也氏は、1932年生まれの日本の西洋美術研究者であり、東京藝術大学の名誉教授です。岩手県江刺市（現在の奥州市）で生を受け、1951年に岩手県立水沢高等学校を卒業後、東京藝術大学に進学し、1956年に美術学部専攻科を修了しました。その後、1958年にはイタリア政府給費留学生としてローマ大学に留学し、西洋美術の研究に没頭しました。

帰国後の1961年からは、国立西洋美術館の研究員として活動を開始し、1972年には『ザ・ヌード』の翻訳で日本翻訳出版文化賞を受賞しました。1976年には東京藝術大学美術学部の助教授に就任し、1985年には教授へと昇進しました。1990年には、『ジョットの藝術』でマルコ・ポーロ賞を受賞し、2000年に定年退官。その後、名誉教授の称号を授与されました。2001年には岩手県立美術館の館長に就任し、2010年に退任するまでその運営に尽力しました。

佐々木氏は、西洋美術史、特にルネサンス美術の研究において重要な貢献をしています。彼の著作は、美術史研究者だけでなく、美術に関心のある幅広い層に読まれています。

主要な著書

『ルネサンス絵画』(1964年)：ルネサンス美術の入門書として広く読まれています。
『ジョットの芸術 スクロヴェーニ礼拝堂壁画を中心として』(1989年)：ジョットの芸術を詳細に分析した研究書です。
『聖痕印刻 ジョットの後期壁画をめぐって』(1995年)：ジョットの後期作品における宗教的テーマを考察しています。
『天使たちのルネサンス』(2000年)：ルネサンス美術における天使の表現を多角的に論じています。
『マザッチオ ルネサンス絵画の創始者』(2001年)：マザッチオの革新的な画業を解説した著作です。

共編著

佐々木氏は、多くの共編著にも携わっており、幅広い美術分野の研究に貢献しています。

『世界の美術 第14 コロー、ミレー、クールベ』(1964年)：19世紀のフランス絵画における重要な画家たちを紹介。
『近代世界美術全集 第1 近代絵画の先駆者たち』(1964年)：近代美術の黎明期を概観する重要な資料。
『ファブリ世界名画集 24 オノレ・ドーミエ』(1970年)：ドーミエの作品を詳細に解説。
『現代世界美術全集 1 マネ』(1971年)：マネの芸術を多角的に分析。
『世界の名画 5 マネとドガ』(1972年)：印象派の巨匠たちの作品を比較研究。
『世界彫刻美術全集 12 ロダン』(1976年)：ロダンの彫刻作品を紹介。
『世界美術全集 1 ジオット』(1977年)：ジョットの全貌を体系的に解説。
『世界美術全集 3 マザッチオ、マゾリーノ、フランチェスカ』(1978年)：ルネサンス初期の画家たちの作品を研究。
『全集美術のなかの裸婦 4 神話・ニンフと妖精』(1980年)：裸婦像の表現について考察。
『NHK ルーブル美術館 3 神の王国と人間の都市 中世からルネサンスへ』(1985年)：中世からルネサンスへの美術の流れを解説。
『NHK ルーブル美術館 4 ルネサンスの波動 フランドル/ドイツ/イタリア/フランス』(1985年)：ルネサンス美術の多様性を提示。
『フィレンツェの美術』(1991年)：フィレンツェの美術史を総合的に解説。
『世界美術大全集西洋編 第11・13巻 イタリア・ルネサンス 1・3』(1992-94年)：ルネサンス美術の詳細な研究。
『世界美術大全集西洋編 第10巻 ゴシック 2』(1994年)：ゴシック美術の重要な側面を解説。
『美術鑑賞 近代から現代へ』(1998年)：近代から現代美術までを概観。

主要な翻訳

佐々木氏は、翻訳家としても活躍しており、西洋美術に関する重要な文献を日本語に翻訳し、日本における西洋美術研究の発展に貢献しました。

ジルベール・ピカール『ローマ「世界の建築」』(1966年)：ローマ建築の研究。
ケネス・クラーク『風景画論』(1967年)：風景画の本質を論じた名著。
リオネロ・ヴェントゥーリ『近代画家論』(1967年)：近代絵画の巨匠たちの芸術を解説。
ケネス・クラーク『ザ・ヌード 裸体芸術論 理想的形態の研究』(1971年)：裸体表現に関する古典的名著。
マルセル・ブリヨン『レオナルド・ダ・ヴィンチ』(1983年)：レオナルド・ダ・ヴィンチの伝記。
D.レディグ・デ・カンポス『ヴァティカン宮ラファエルロの壁画』(1984年)：ラファエロの壁画作品を解説。
* カルロ・ピエトランジェリ『ヴァティカン絵画館』(1995年)：ヴァティカン美術館のコレクションを紹介。

佐々木英也氏は、その長年の研究と教育活動を通じて、日本の西洋美術研究に多大な貢献をされた人物として、広く知られています。

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