世界自然保全モニタリングセンター

世界自然保全モニタリングセンター（UNEP-WCMC）

世界自然保全モニタリングセンター（World Conservation Monitoring Centre, WCMC）は、生物多様性の保全に取り組む国際連合環境計画（UNEP）の下部組織です。世界動植物保全監視センター、世界自然保護モニタリングセンターなどとも訳され、英語の略称はUNEP-WCMC、またはWCMCです。本部はイギリスのケンブリッジにあります。

歴史

1979年に国際自然保護連合（IUCN）の「保全監視センター」として設立されたのが始まりです。1988年には、IUCN、世界自然保護基金（WWF）、UNEPの3つの国際組織が共同で運営する「世界自然保全モニタリングセンター」（WCMC）として再編されました。そして2000年、IUCN、WWF、イギリス政府の支援を受け、UNEPの下部組織となり、「国際連合環境計画 世界自然保全モニタリングセンター」（UNEP-WCMC）として現在に至ります。

目的

WCMCの主な目的は、種の保全と持続可能な利用、そして環境システムに関する情報を提供し、他の情報管理システムの構築を支援することです。この目的を達成するために、以下の3つの主要なセクションで活動しています。

情報サービス: 専門知識、ツール、技術、情報を提供し、国際的な取り組みをサポートします。
早期警戒・評価: 地球の生物多様性のモニタリング分析、その傾向分析、そして新たな脅威に対する早期警戒を行います。
条約と政策支援: 国際環境条約やその他の国際的な計画を通じて、生物多様性に関する政策の開発・実施を支援します。

活動

WCMCは、世界の生物資源の保全と持続可能な利用に関する情報を収集・管理し、国連機関から多国籍企業に至るまで、幅広い組織に提供しています。具体的な活動内容は以下の通りです。

情報提供サービス: 生物多様性の状況、価値、管理に関する情報への広範なアクセスを促進します。
能力開発サービス: 生物資源に関する情報収集、管理、解釈、利用に関する能力開発を支援します。
データ管理サービス: 他の機関やネットワークを代行してデータの保管、共有、管理を行います。

活動分野は多岐にわたり、森林保護、北極保護、海洋生態系、保護システム、生物多様性の評価、貿易などが含まれます。

データ内容

WCMCは、森林分布図、生物多様性に関する情報、FSCの分布図、8,000年前の森林分布図などをウェブ上で公開しています。また、政策・意思決定に役立つデータベースや評価情報を作成しています。データ管理においては、保全コミュニティとの連携を重視し、連絡窓口、専門家情報、協力関係のネットワークを構築しています。このネットワークを通じて、国家レベル、地域レベル、国際レベルでのイニシアティブを支援しています。

協力関係

WCMCは、国際連合食糧農業機関（FAO）、国際連合教育科学文化機関（UNESCO）などの国際機関や、国際自然保護連合（IUCN）、世界自然保護基金（WWF）などのNGOと協力しています。さらに、欧州連合（EU）、地球環境ファシリティ（GEF）などの国際機関や、BP Amoco、ブリティッシュ・エアウェイズ、ユニリーバ、BIOTINTO、HSBCホールディングスなどの企業からも支援を受けています。

WCMCは、生物多様性条約、ワシントン条約、ボン条約、世界遺産条約などの国際条約・計画とも連携し、生物多様性保全のための取り組みを推進しています。

外部リンク

UNEP-WCMC（英語）
WCMC（英語）
UNEP-WCMC - 地球環境研究計画 国際研究計画・機関情報データベース
国際的な取り組み World Conservation Monitoring Centre - （財）地球・人間環境フォーラム

もう一度検索